雇用などへの不安、信用収縮の動きもあって大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年05月06日 08時42分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>10004.20△154.46

<TOPIX>865.55△13.70

<NYダウ>12584.17▼139.41

<NASDAQ>2814.72▼13.51

<NY為替>80.07▼1.14

小売売上高は好調だが、雇用などへの不安もあり、信用収縮の動きもあって大幅安

 日本市場が休場中の米国市場は経済指標にかげりも見られ、指数は上値の重い展開から昨日はダウ平均が大きな下げとなり、調整気分が強まって来ました。足元の企業業績はしっかりと回復、日本の大震災の影響も好悪入り混じりながらも特に大きな影響もなく、順調な景気回復は見られます。一方で過度の金融緩和から過剰流動性からの行き過ぎの感もあり、金融緩和後の動きを睨んで商品相場が軟調となるなど信用収縮の動きも見られて調整気分が強まったものと思われます。

 景気回復の継続は見られ、ちょうど1年前の「フラッシュ・クラッシュ」を想起しながらも落ち着いてはいたのですが、今後はQE2(量的緩和)終了後の金融緩和の「出口」を探る動きと、企業業績や個人消費の回復、拡大を計る動きとのせめぎ合いのような格好となって来るのだと思います。過度な経済指標の落ち込みは再度の金融緩和期待と同時に財政収支悪化懸念となる可能性も高く、過度に好調な指標となれば、さらに金融緩和の出口の早まりが懸念され、適度な指標の回復、改善が期待されているのだと思います。

 個別にはイースター(復活祭)の効果で小売各社は既存店売上高が前年から大きく膨らんだのですが、予想を下回ったサックスは軟調、予想を上回ったターゲットは堅調と、まちまちとなりました。原油や金など商品相場が大きく下落したことを受けて、エクソン・モービルなどの石油株、パブリック・ゴールドなどの金鉱株が売られ、アルコアなど素材株も軒並み軟調となりました。信用収縮の動きも見られたことで、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も総じて軟調、インテルは買い戻しも入り堅調となりましたがIBMなどハイテク銘柄も軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 3連休前の日本市場は連休谷間にもかかわらず、米国株高や買戻しを急ぐ動きなどから買い先行となり、国際テロ組織の首謀者が殺害されたと伝えられると心理的な節目である日経平均1万円を抜けて大幅高となりました。為替は円高気味ではあるのですが、特に問題視されず、持高調整の買戻しも多く、指数を押し上げました。ただ、さすがに連休の谷間とあって、売買高などは盛り上がりませんでした。

 日本市場が休場の間の米国市場など海外市場は冴えない展開となり、商品相場も軟調、為替も大きく円高に振れたこともあって売り先行となりそうです。休日の谷間の月曜日には買戻しなども見られ大幅高となりましたが、その反動や週末の米雇用統計の発表を見極めたいとの見方もあり少なくとも積極的に買い上がるような動きは見られないと思われます。円高に反応して輸出株などは売られるものと思われ、指数を下押す要因となりそうです。世界的な景気拡大、回復は見られるものの、大震災の影響や過剰な(?)金融緩和からの是正などで波乱含みとなりそうです。

 日経平均は連休の谷間に1万円の大台乗せとなりましたが、国際テロ組織の首謀者殺害と言うニュースに反応して買い戻し主体で上げた面もあり、達成感も出るものと思われます。今度はこれまで上値の節目と見られていた9800円〜900円水準で底堅さが見られるのかどうか、10000円台が一過性、持高調整での誤差として9800円〜900円水準が上値として再確認されるように調整となるのかを見極める状況となって来そうです。

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