床下は予想以上に真っ暗だ。私も作業着やヘルメット、ヘッドライトとマスクを装着し、西田社長とともに床下に潜った。
床下は暗いが、ヘッドライトのおかげで周りの様子を見ることは十分にできた。気付いたら、西田社長が先にどんどん進んでいた。
「離れたら追いつけなくなりますから、ちゃんとついて来てくださいね!」。私も急いで西田社長の後を追いかけていくと、目の前で糸状のものが引っ掛かった。
「それはクモの巣ですよ。あちこちにあるので気をつけてくださいね。クモの巣はまだマシですよ。たまにネズミの死骸や蛇の抜け殻があったりもします。床下は何が出てくるか分からないですよ」
クモの巣を手でよけながら、とりあえず前へと進んでいった。しかし、かなりの数のクモの巣が存在する。何年も手入れをしないとこうなることを実感した。
西田社長が再び声をかけてきた。
「この木材の部分を見てください。すごく黒ずんでいるでしょう。これはもう湿気でやられていますね。腐朽菌がまん延して、木が崩れ落ちているんです。湿気が多いと、このように土台の腐敗やシロアリの誘致につながります」
確かに木が途中から腐り落ちてしまっている。これは想像以上の腐敗だ。私の実家もこのような状況になっているのだろうか……。
→続く。
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