原発事故は「レベル7」……世界はどのように報じたのか(1/3 ページ)

» 2011年04月21日 08時00分 公開
[SankeiBiz]

 東日本大震災に伴う福島第1原子力発電所の事故について、経済産業省原子力安全・保安院は、国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価を最悪の「レベル7」に引き上げた。旧ソ連・チェルノブイリ原発事故と同じ水準で、事故から1カ月後の突然の決定に世界に衝撃が走った。各国メディアはそれぞれの国情を反映しつつ報じている。

中央日報(韓国)

日本は初めから隠していた

 韓国各紙は厳しい日本政府批判を展開している。中央日報は13日付の1面で、「『チェルノブイリ級事故』 日本政府、初めから隠していた」の見出しの記事を掲載。枝野幸男官房長官の記者会見での発言や内閣府の原子力安全委員会、経済産業省の原子力安全・保安院の発表数値を細かく検証している。

 この中で同紙は、(1)枝野官房長官が「これまでに放出された放射性物質の量は放射性ヨウ素131に換算して37万から63万テラベクレルにのぼる」と認めた(2)原子力安全委員会は3月23日にはレベル7に該当する放出量に達していることを確認していた−などとし、INESに照らして「直ちに『レベル7』に引き上げなければならない状況だった」と結論づけた。

 13日付朝鮮日報も「事態が悪化したにもかかわらず評価を変えなかった」と日本を非難。東亜日報は「フランス側が『福島原発はレベル6、レベル7クラスに該当する』と指摘してきたが、日本政府はこれを無視してきた」と断じている。

 韓国では、近隣国の日本で発生した事故への関心が極めて高い。放射性物質が含まれた雨が降る可能性が指摘されると、ソウル近郊では100校以上の幼稚園、小中学校が休校するなど一部にパニックも起きている。

 こうしたこともあって韓国政府は、国民の不安が政権への不満に変わることを懸念している。国会では、汚染水の海洋放出について韓国政府が事前に把握できなかったことを「政府の無能だ」と追及された金滉植首相が、「無能なのは日本だ」と反論したほどだ。

 世論の方も、事故対応やレベルの引き上げ決定が遅い日本に対するいらだちを隠さなくなっており、メディアの論調を後押ししている。(ソウル 加藤達也)

中央日報
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