コラム
» 2011年03月31日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:“二次被害”をなくす方法はあるのか――目に余る震災報道 (1/3)

被災した子どもたちに、マイクを向ける大手メディアが後を絶たない。こうした報道は“二次被害”を招く危険性があるが、私たちは傍観するだけしかないのか。筆者なりに報道被害を食い止める方法を考えてみた。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 先週の当欄で、筆者は大手メディアの大震災被災地での取材姿勢を非難した(関連記事)。編集部に多数の読者からの励ましをいただき、心強く感じた次第だ。半面、かつての同僚、旧知の報道マンに取材姿勢を改めるよう説得したが、残念ながら筆者と彼らの温度差は大きいと言わざるを得ない。近い将来、今回のような事態が日本のどこかで起こった際、被災者の心をえぐるような過熱報道は起こり得る。今回は筆者なりに報道被害を食い止める方策を考えてみた。

超ビビリ

 今回の当欄は、わざと回りくどい書き方をする。最後に読者に判断を託すための筆者なりの工夫だと理解していただければ幸いだ。

 筆者の周囲には、広告や宣伝などの広報活動全般に関わる人間が多数存在する。最近、彼らと顔を会わすたびに聞かされるのが、愚痴だ。大震災関連のテレビ、新聞の特報態勢が徐々に通常モードに移行しつつある中、CMや広告も普段の状態に戻る。彼らはこれに備え、準備の真っ最中なのだ。

 「こんな明るいトーンの映像は、反感を買うのではないか?」

 「お笑いタレントを起用したが、オンエアしても大丈夫か?」

 広報担当者や宣伝マンが被災者を気遣っているのは間違いない。ただ、原動力の大半は「クレームが怖い」「非難の的になることを回避せよ」という“大人の事情”によるところが大きい。某週刊誌が被災者や国民の神経を逆なでにするような見出しを立て、強烈なバッシングを受けたこともあり、事なかれ主義が急速に業界内にはびこっている。

 CMや広告を出す側の企業も同様であることは間違いない。国民の関心が高い中で、某週刊誌のようなバッシングを浴びる事態となれば、新製品の1つや2つは簡単に販売停止に追い込まれ、企業の存続さえ危うくしてしまうからだ。

 「クライアントも製作側も過度のビビリ状態」(外資系代理店)といえる。

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