“二次被害”をなくす方法はあるのか――目に余る震災報道相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年03月31日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

一番効く簡単な方法

 10年前に住宅ローンを組んだ際、某メガバンクの支店関係者ともめた。100%担当者のミス。税金方面の凡ミスで、当方は結構な額をドブに捨てることになった。

 クレームを入れたが、担当者と支店長が頭を下げただけ。誠意は全く感じられなかった。弁護士に相談したが、同情されただけだった。「その手の裁判は何度もやったが、ダラダラ長引くだけ。勝っても訴訟費用でアシが出る」

 結局泣き寝入りとなった次第だ。当時、筆者は金融機関担当の取材記者だった。当該行の広報マンには嫌味を言ったが、事を荒立てることはしなかった。数日後、別銀行の広報マンと酒席で会い、酔った勢いで愚痴を吐いた。この銀行マンは、筆者の耳元でこうささやいてくれた。

 「お客様センターが一番効きます」

 お客様センター、あるいは消費者窓口はどこの企業も設置している。フリーダイヤル、公式サイトからメールを送ることもできる。苦情処理などを通じ、広く顧客や消費者の声を拾い集める機能だ。先の広報マンによればこうした企業の情報収集によって得られたデータは、「広報部長は必ず目を通すし、1日になんども目を通すトップも増えている」

 こうした態勢が充実していることが、先の項目で触れた「業界内総ビビり状態」の根っ子の部分にあるのだ。

 筆者がお伝えしたいメッセージをご理解いただけただろうか。民放はCMがなければ番組を作れない。新聞は広告がなければ発行を続けられない。賢明な読者の冷静なご判断を仰ぎたい。

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