住宅指標など経済指標も芳しくないのだが堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月30日 08時42分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>9459.08▼19.45

<TOPIX>850.21▼7.64

<NYダウ>12279.01△81.13

<NASDAQ>2756.89△26.21

<NY為替>82.48△0.78

欧州財政不安が残り、住宅指標など経済指標も芳しくないのだが堅調

 朝方は欧州の格下げなどが懸念され、住宅関連の指標も芳しくないことから、売りが先行となりました。ただ、M&A(合併・買収)に絡む話題や景気回復期待が根強いことから買い直されて堅調、ナスダック指数は大幅高となりました。午前中に発表された消費者信頼感指数も予想を下回り芳しくない数字となったのですが、日本の大震災や原子力発電所への懸念、欧州の財政不安などが要因ということで、特に材料視されることもありませんでした。

 欧州財政不安や日本の原子力発電所問題など海外での懸念は残るものの、新興国を中心とした世界経済の拡大が続いていることや中東情勢も小康を保っていることなどから買われましたが、まだまだ、売られ過ぎの修正と言う段階ではないかと思います。今後はインフレ懸念=出口戦略なども取り沙汰されてくるものと思われ、その都度下に振らされる場面もあるのかもしれませんが、日本の原子力発電所問題や中東情勢が落ち着けば、日本や中東・北アフリカの「復興」に対する期待も出て来るのだと思います。

 個別には仏電気設備メーカーを買収すると発表したGE(ゼネラル・エレクトリック)は軟調な始まりとなったものの堅調となり、音楽配信サービスに乗り出すと発表したアマゾン・ドット・コムも高くなりました。住宅関連の指標が芳しくないことから、レナーやDRホートンなど住宅関連銘柄が軟調となりました。前日の引け後に追加の自社株買いを発表したホーム・デポが高く、景気回復期待からキャタピラーやアルコアなど景気敏感株も高くなりました。インテルは軟調、IBMやアップルは堅調とハイテク銘柄は総じて底堅い堅調な動きでしたが、方向感の見え難い感じでした。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安などを受けて売り先行となりました。配当落ちということもあり、一時大幅下落となりました。後場に入ると下げ渋り、持高調整の買いも見られて一時堅調となるなど落ち着きのない展開でした。外部環境や特別なニュースでの売り買いというよりは目先の持高調整、需給だけの動きとなっていたようです。先物と現物の持ち高の入れ替えや銘柄入れ替え、配当に絡む動きなどがあったものと思います。

 引き続き原子力発電所問題は気になるのですが、米国市場が堅調となったことや為替が円安となったことで、堅調な展開が期待されます。ただ、部品調達や部品の生産の遅れから円安効果も限られ、逆に原油価格などが上昇、被災地を中心に物資が逼迫しているなかでの円安と言うことで、コスト高が懸念されるものと思います。目先的には輸出で稼ぐ、と言うよりは内需の立て直しが急務となるなかでの円安は日本経済にとって逆効果となる可能性もありそうです。それでも、輸出関連銘柄の買い直しは期待されます。

 配当落ち分を埋めるように底堅い展開となり、引き続き原子力発電所問題に進展が見られる、あるいは決定的に悪化するまでは9500円〜600円水準を中心としたもみ合いが続くものと思われます。原子力発電所の放射能漏れが防げれば9800円〜900円水準の節目まではすぐに上昇となるのでしょうし、逆にさらに放射能が漏れるようであれば、9200円〜300円水準の節目を試すことになるのでしょう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.