コラム
» 2011年03月24日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:これからのキーワードは「感動」「シンプル」――震災がマーケティングを変える (1/3)

東北地方で大地震が起きてから1週間。この1週間で消費者のメディア利用や、消費行動には大きな変化が起こった。震災後の私たちは、どのようなマーケティングのあり方を目指せばいいのか、考えてみた。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotobike


 東北地方で大地震が起きてから1週間以上が経った。

 陳列棚がもぬけの空になったコンビニエンスストアで、私はハタと考えた。胃袋は1つなのに、あの人は買い物カゴをいくつ持っているんだろう? エゴが抑えきれない消費者。ガソリンを求めて給油所に数百メートルも大行列を作るクルマの脇を自転車で通り過ぎた時、私はすっくと腕を振り上げて「自転車に乗ろう!」と叫んでみた。

ah_convini.jpg

 人間のエゴや脆弱な都市基盤を目の当たりにする一方、日本人の胆力に驚愕した。こんな緊急時でも冷静で騒がず、投げやりにもならない人たちがいた。暴動や略奪も少なかった。しかも、Twitterには善意のコメントが満ちあふれた。セレブも企業も、被災者への援助を惜しまない。

 震災後の消費心理・行動観察から、人間そのものが見えた。2008年のリーマンショックは生活防衛意識を消費者に植え付けて“巣ごもり型”にしたが、2011年の大震災は“生命防衛+シェルター型”にでも変えるのだろうか? マーケティングはどう変わるのか、震災後の消費変化を占う事象を挙げてみよう。

Twitterの情報力!

 まずTwitterのすごさに驚いた。速報性、同時共有力、デマも含めた伝達力、いずれもすごかった。ネットニュースに比べても格段に早く、生々しい。Twitterの半匿名伝播力がFacebookの実名友達力を上回った(日本のFacebook利用者は600万人、Twitterは1200万人と規模の違いはあるが)。3月11日のツイート数は1億7700万回(参照記事)。アクティブユーザーを3割とすれば、1人平均50ツイートにも上った。

 漫画家井上雄彦さん(@inouetake)の“Smileツイート”や、NHK広報局員(@NHK_PR)の率直なツイートはよかった。東京電力公式アカウント(@OfficialTEPCO)は開設初日で10数万人のフォロワーを得た。歌人俵万智さん(@tawara_machi)の「リツイート我もするなりツイッターは言葉のバケツリレーと思う」はまさに、という感じ。

ah_inouetake.jpg 井上雄彦さんが被災者を元気付けるために書いた絵

 この震災で、Twitterがほかのあらゆるメディアを越えたのは事実。最近、Facebookに傾きかけた感があったが、これで別の流れができる。ほかのSNSにとっても脅威が増しただろう。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -