地方紙、テレビ、ラジオへ――被災者のためにTwitterでの情報発信を!相場英雄の時事日想・特別編(1/2 ページ)

» 2011年03月14日 11時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄の時事日想・特別編

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 先週末、東北・関東一帯を東日本大震災が襲った。詳報は他の記事に譲るとして、震災発生とその後の復興支援が始まった段階で筆者が気付いたメディアの動向に触れる。結論から言うと、被災地の地方紙、テレビ、ラジオは地元民が必要とする生活密着型の情報をTwitter経由で発信してほしい。今からでもまだ間に合う。中央のメディアとは一線を画した地元目線での情報が、被災者と地域の復興に直結するのだ。

バッテリーが切れる

 11日午後、大震災の1回目の揺れの直後、筆者は自身の仕事場で崩れ落ちた書籍の山から脱出し、家族の安否を確認した。その後、震源近くに住む友人、知人に連絡を入れてみたが、固定電話、携帯電話、メールともにほとんど使えなかった。

 同日午後から深夜にかけ、都心から自宅に戻った読者も同じような経験をしたに違いない。ただ、各種の通信手段が混乱する中、比較的スムーズだったのがTwitter、そしてTwitterのダイレクトメール(DM)機能だった。

 翌12日、TwitterのDMを通じ、東北地方に住む友人、知人と連絡を取ることが可能となった。ただ、震災発生直後で携帯やごくわずかな身の回り品しか持たない向きが多く、「(携帯の)バッテリーが切れそう」との声に接する場面が急増した。

 通信手段が限られる中、多くの被災者がTwitterを利用して情報を収集したのは間違いない。筆者はシステム関係の知識が全くない。なぜTwitterがスムーズに動いたのかを知る術はないが、被災者がTwitterのタイムライン(TL)上に流れる情報を頼りにしていたのは事実だ。特に、停電が続き、テレビやラジオの視聴が困難となる中で、「地域に関する情報はなんでもかまわないので、伝えてほしい」との切実な声が筆者のもとにも多数寄せられた。

 筆者は主要マスコミのWebサイト、あるいはTwitterのアカウントを調べてみた。ただ、大半は震災の全容を伝える「本記」系、あるいは被災地の映像を伝える動画がほとんどで、携帯のバッテリー残量に不安のある被災者に送れるものが少なかった。筆者は自身で各種報道を短文にまとめ、概要を伝えることしかできなかった。

 次いで、被災地の地元紙、あるいはローカル局のWebサイト、Twitterも調べてみたが、PDFの号外、あるいは中央キー局の特番をそのまま転用している地元局も少なくなかった。もちろん、これらもバッテリーへの負荷が高く、お勧めできなかった。

 筆者が四苦八苦する間、友人のフォロワーたちからいくつかのアカウントの情報がもたらされ、筆者は目を見張った。そこには、被災者に必要な情報が、簡潔かつ大量に表示され始めていたからだ。

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