中東・北アフリカ情勢の緊迫化を嫌気して大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年02月23日 08時36分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>10664.70▼192.83

<TOPIX>956.70▼17.93

<NYダウ>12212.79▼178.46

<NASDAQ>2756.42▼77.53

<NY為替>82.77▼0.36

中東・北アフリカ情勢の緊迫化を嫌気して大幅下落

 米国市場が3連休中にリビア問題などから原油価格が急騰、企業業績への影響などが懸念されて欧州やアジアの株価が急落となったことを受けて売り先行となりました。朝方発表された住宅価格指数が芳しくなかったことも景気が戻りきらないうちの中東などの懸念材料ということで売りも嵩みました。午前中に発表された消費者信頼感指数が予想を大きく上回り、3年ぶりの高水準となったことや3連休明けということで、ヘッジ売りの買戻しも入り底堅くなる場面も見られたのですが、株式市場からの資金逃避の動きや、目先的な過熱感も強かったこともあり、利益確定売りも嵩んで大きな下げとなりました。

 「ドルキャリー取引」の解消(巻き戻し)は見られ、株式市場からの資金逃避の動きも見られますが、金や原油の先物などが上昇しており、極端な「信用収縮」の動きとはなっていません。まだ、中東・北アフリカ情勢が落ち着けば株式市場への資金流入が見られるという段階ではないかと思われ、暴動が世界的に広がることがなければ、他の産油国に広がることが無ければ、目先的な調整に止まる可能性も高いのではないかと思います。

 個別には中東問題などを理由に売られるものが多く、売上高が予想に届かなかったウォルマートは大幅下落、大幅増益ながら売上高が予想を下回ったメーシーズや予想を上回る利益を上げたホーム・デポも売られました。銀行株も景気回復の遅れの影響が懸念されてシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースと軒並み大幅安とあんりました。ハイテク銘柄や景気敏感銘柄も利益確定売りを急ぐ動きから大きく売られるものが多く、アップルやアルコア、キャタピラーは大幅下落、IBMやインテル、GE(ゼネラル・エレクトリック)なども軟調となりました。原油や金の先物価格が上昇したことを受けてエクソン・モービルやシェブロン、パブリック・ゴールドは堅調となりましたが、ニューモント・マイニングは利益確定売りに押されて軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場はリビアを中心とした中東・北アフリカでの騒乱を受けて欧州株が大幅下落となったことや米国株式指数が24時間取引市場で売られたことなどから売り先行となりました。為替も円高気味ということや国債の格付け見直しのニュース、ニュージーランドでの大きな地震のニュースなども見切売り、手仕舞い売りを急がせる要因となり、大幅安となりました。目先的な過熱感も強かったことから、手仕舞い売りも嵩みました。

 3連休明けの米国市場は大幅下落となりました。ただ、日本や欧州では昨日の相場で既にある程度の下落は織り込まれていたこともあり、日本市場は底堅さも見られるのではないかと思います。欧州株式市場も引き続き軟調とはなったものの下げ幅も限定的であり、為替も円キャリー取引やドルキャリー取引の解消(巻き戻し)は見られるものの動きも限られています。中東情勢の緊迫化かで株式市場からの資金逃避はあるものの、原油高に見られるように信用収縮とはなっておらず、リビア以外の中東諸国の混乱に拍車がかかることがなければ、下げ渋る場面もあると思われます。

 10800円〜900円水準の上値を確認した格好となりました。今度は押し目を確かめる動きとなって来るのだと思いますが10500円〜600円水準では下げ止まるのではないかと思います。原油の急騰なども嫌気されていますが、需給面からのインフレはある程度予想されていたことでもあり、信用収縮とならなければ、調整は長くなりそうですが値幅的には大きくはないと思います。従来からの想定通り、当面は10500円〜600円水準を下値に10800円〜900円水準になると戻り売りに押されるような展開となると思います。

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