手掛かり難のなか閑散小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年12月28日 16時22分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 クリスマス休暇が終わり、外国人の参戦も期待されたのですが、まだ休暇が続いていると言うことなのか、昨日以上に閑散とした感じでした。昨日はそれでも12月決算銘柄などの配当取りの動きもあったのでしょうが、為替が円高気味、米国市場でも中国の利上げに反応し切れなかったということで、方向感を掴みかねたと言うことなのだと思います。昨日の相場でも上値の節目と見られる12月10日の高値水準を抜け切れなかったことで、年末高期待はあるものの、いったん手仕舞うと言う動きも出ているものと思います。

 今年の「重大ニュース」などと言うことがこの時期になると言われますが、毎日相場の動きを見て感じるのは東証が「アローヘッド」と言う高速売買システムを導入し、明らかに相場が変わったと言えるのではないかと思います。実際に市場参加者も一段と短期の売買を好む傾向にあり、また、逆に「板」の状況などを見ながら売買していたようなディーラーやデイトレーダーの中には苦戦を強いられた向きも多かったのではないかと思います。

 友人のディーラーが、「スカイネット」(映画「ターミネーター」に登場するコンピューターシステムで、最新のロボット兵器で人間を攻撃するもの)相手に戦っているのでは勝ち目がないと言っていたのを思い出します。たとえば、ここの売り物が○○株まで減ったら買ってみよう、とか見ているうちに「アルゴリズム取引」と言われるような自動売買のシステムに先に買われてしまう、などということもあり、思うように売買できなくなってしまった向きも多いのではないかと思います。

 とは言っても、「バイアンドホールド」で簡単に済むほど相場が長続きすることもなく、「市場の変化」についていけなかった人も多いのではないかと思います。これまでも先物が登場したとき、ミニ先物が登場したとき、手数料の自由化が行われたときなど、「市場」のものが変化したことも多く、そのたびに市場参加者が少なくなっていびつになっているような気もします。ただ、その反面うまく市場の変化に対応できた向きはしっかりと儲けることが出来た年でもあったのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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