コラム
» 2010年12月27日 08時37分 UPDATE

藤田正美の時事日想:菅総理に贈る言葉――「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」 (1/3)

ある調査によると、企業経営者は景気が二番底に陥る可能性は低い、と見ているようだ。しかし失業率が5%を超えるなど、明るい材料は少ない。日本経済の先行に不透明感が漂う中、菅総理は再建に必要なことを語るべきではないだろうか。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 日本経済新聞社のアンケート調査によれば、企業経営者は景気が二番底に陥る可能性は低くなったと考えているのだそうだ(関連リンク)。中国やASEAN(東南アジア諸国連合)、インドといったアジア諸国の経済成長力は目覚ましく、日本はその恩恵にあずかっているということである。

 しかし日本の国内のほうは、まったく対照的に明るい話は少ない。例えば失業率はこの2010年10月でも5.1%。最悪の時期よりはいくらかましだが、それでも日本の過去の水準から言えばかなり高い。しかも15歳から24歳といういわゆる若年層の失業率は9.1%である。これも一時の最悪期(例えば2010年3月には12%に迫っていた)よりは改善しているとはいえ、大学生の就職内定率が過去最低水準にあることを考えれば、また悪化してもおかしくはない。

yd_situgyou.jpg 完全失業率(季節調整値)の推移(出典:総務省「労働力調査」)

自動車が失速している

 2011年度に法人税を5%引き下げるのだから、企業は雇用を増やすようにと菅首相は語ったが、そう簡単ではない。企業が日本国内で人を雇用し、モノの生産を増やしていくためには、作ったモノを国内で販売するか輸出することが必要である(雇用を増やすならば、生産高が増えなければならない)。

 しかし日本からの輸出は環境としてはだんだんに門が狭まる傾向にある。FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)を二国間で結んで、関税で不利な扱いを受けないようにしなければならないが、この点で日本は韓国などより後れを取っている。その理由は自国農業をどう育成するかについてのスタンスが決まらないからだ。

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