大企業が社員のクビを切れば、“いいこと”もあるのではちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける(7)(2/3 ページ)

» 2010年12月24日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

まず「年商500億円の会社を作る」ことを目指す

ちきりんさん

ちきりん:磯崎さんの著書『起業のファイナンス』(日本実業出版社)には「年商500億円の会社を作ることが大切」といったことが書かれていました。会社を起業して「年商1億円で満足」という人はたくさんいると思いますが、「年商500億円の会社を作る」と最初から目指している人は少ないですよね。能力がある・ないにかかわらず、周囲にそういうことを実現した人がいないと、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。サラリーマン家庭の家で育った人に、自分が一代で500億円の会社を作ると思える人は少ないでしょう。

 IT関連の会社を起こした人は、周囲にいる人からというより、インターネットという新しい世界の出現に刺激を受けた人も多いのではないでしょうか。インターネットの技術があまりにもインパクトが大きかったので、起業する気になった人が多いと思います。

磯崎:そうでしょうね。

ちきりん:今はネットがインフラとして定着し、新しいサービスで競う時代に入っています。そうなると違った刺激をもらわないと、なかなか500億円の会社を夢想するきっかけにはならないかもしれません。

 ただ環境的にフォローの風が吹いていると思うのは、大企業ブランドが崩れてきていることです。大企業に就職することが魅力的でなくなれば、相対的にベンチャー企業に興味を持つ人が増えていくでしょうね。小さな企業でもそこで面白い仕事ができるなら、その人の人生はむしろ大企業で一生働くより楽しくなる。今後はこうした考えの人が増えていくかもしれませんね。

磯崎:なかなか大企業で働いていて、外に出るのは難しい。僕の場合はたまたま、勤務先の親銀行である日本長期信用銀行(長銀)が危険な状況に陥ったときに、オンライン証券設立をお手伝いする話をいただいたので、そっちに飛び移ることができました。大企業が大量にリストラをすれば、そこにカオスが発生する。米国ではそのカオスがいい感じになるのですが、日本では潰れそうな企業を必死に守ったりしますよね。

ちきりん:JALがまさにそう(笑)。

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