前日までの大幅高の反動や円高を嫌気して手仕舞い売りに押されるが底堅い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年11月09日 16時03分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 前日までの大幅高の反動や米国市場が冴えない展開となったこと、ユーロが大きく下落したことなどが嫌気されて売り先行となりました。外国人も売り越しと伝えられ、昼の時間帯には対米ドルでも円高が進んだのですが好決算に反応する動きもあり底堅い展開となりました。昨日までと同様に、日銀のETF(上場投資信託)買い取りに絡む持高調整もあったものと思われ、悪材料への反応も鈍いものとなりました。

 欧州での金融不安が取り沙汰されてユーロが売られたりしていますが、米国金融機関の株がしっかりとしていることや商品相場が堅調なことから、信用収縮=リスク許容度の低下ということには結びついておらず、世界的な金融緩和による資金の流れ、「過剰流動性」には何ら変わりないものと思います。日本の市場も日銀のETF買い取りが期待されて、買い戻しを交えて需給が好転、堅調な地合いが続いています。

 世界的な過剰流動性からの信用拡大=リスク許容度の拡大が見られます。中国などでも自国通貨の高騰を防ぐために資金流入規制なども話題になっていますが、世界的な規模で「金余り」となっているようです。商品相場を見ているその流れは良く分かります。毎日、金、銀、銅やアルミ、小麦などなど何種類か毎日グラフを作成しているのですが、そのグラフ=チャートの目盛りも毎日のように上に継ぎ足しているような状況です。

 インドやブラジルの株価も大きく上昇して商品相場と同様にチャートの目盛りを継ぎ足すような展開が続いています。逆にTOPIXや日経ジャスダック平均などはチャートの目盛りを下に継ぎ足すような状況でしたが、ようやく世界的な流れが日本市場にも入り始めたのかもしれません。株式市場に資金が流入して円高にもかかわらず株価が上昇、あるいは「円キャリー取引」で円から高金利通貨への資金の流れが生じて円安になるか、世界的な資金の流れに日本市場が組み込まれさえすれば、株式市場にとっては決して悪くはない状況だと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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