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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。
10月17日、瀬戸内国際芸術祭2010が開催された香川県の豊島(てしま)に「豊島美術館」が開館した。アーティスト内藤礼氏と建築家西沢立衛氏によるもので、豊島の唐櫃岡(からとおか)地区、瀬戸内海を近くに望む小高い丘の中腹に建設された。
美術館は水滴のような形の自由曲線による建築で、柱のない40×60メートルの広大なコンクリートシェル構造のワンルーム。高さも最大4.5メートルほどしかなく、一歩立ち入ると、水平方向の広がりを劇的に感じる。
豊島美術館で鑑賞できる作品は1点のみ。建築と一体化した「母型」という作品だ。美術館の床に地下水が水滴や水たまりとなって、湧き出る泉のようにランダムに存在し、建物に空いた2カ所の大きな穴から風が吹き抜けると、水滴が床をコロコロと踊り、水たまりは形を変化させる。まるで水が自らの意思をもって動いているかのように見える。この空間でしか体験することができない、美しい現象なのだ。
光り輝く水は変化をし続けている。開口部からは光が差し込み、周囲の美しい自然の気配を感じる。通り抜ける風で揺れるリボンの動きをじっと見入る。
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