米国株安や中国利上げを受けて売られ大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年10月20日 16時10分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 中国の突然の利上げや米国金融不安から米国株が下落、商品相場の下落や高金利通貨の下落もあって、日本市場は売り気配から始まるものが多く、ほぼ全面安となりました。為替もいったんドル高=円安に振れかけたものの再度、円高傾向になり戻り切らずに大幅下落となりました。中国の物価上昇や土地バブルなどを懸念、また、人民元の切り上げが催促されていることから、G20を前に利上げをしたのだと思います。

 日本では円高が大きく進み、経済への影響が取り沙汰されるにもかかわらず、G20前ということもあって円売り介入をためらっていますが、中国ではそんなことおかまいなしに、自国の都合だけで政策を推進しているものと思われます。米国でも欧州でも他国の都合など考えずに自国通貨安政策を推し進めていますが、日本だけが何を慮ってか、政策推進をためらい、その感、株価の下落や通貨高で、損害をこうむっているような気がします。

 中国ではバブルの権化のような上海市場で利上げにもかかわらず、株価が上昇しています。インドや韓国、台湾でも株価は下落することはなく、日本市場だけが政策不在の中で置いていかれているような感じです。そもそも、上海株式市場は中国経済の実態を示しているということではなく、中国の個人の投機的な資金の状況を示している指数であり、今回の利上げが何をどうつくろって見ても人民元対策であり、中国の経済情勢は変わりないと言うことを如実にあらわしているものと思います。

 ここのところの一連の騒ぎや株式市場の動きなどを見ていると、改めて日本の政治力のなさ、自信のなさが見えてきた感じです。また、株式市場や為替市場の参加者も、自国の政府や日銀に対していかに信頼していないのかを示しているような気がします。口先ばかりの政治家と政治家の態度を気にして動きの取れない日銀と、外国人に良いようにあしらわれている投資家、と言うことなのでしょう。それでも、逆境にもめげず、個々の企業はしっかりと従業員や株主の方を向いて頑張っている企業もあり、そうした企業を投資家は見極めなければならいのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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