持高調整の売り買いが中心で方向感のない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年10月08日 16時03分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 3連休を控えた週末、しかも為替がこういう状況の時のG7や米雇用統計の発表を控えた週末ということや株価指数の浮動株比率の見直しの問題などもあって持高調整の売り買いが中心となりました。為替の介入も期待されたものの、相変わらず政府は騒ぎはするものの全く行動を起こさず、相変わらず政策の方向性、スタンスが全く見られない状況です。世界的な金融緩和競争にも通貨安競争にも完全に出遅れて、国内に輸出産業は必要ないというかのような感じです。

 以前からこのコラムでも述べていますが、日本の進む方向が全く見られないことが一番の問題ではないかと思います。前回の為替介入にしても何か目的があって行ったということでもなく行き当たりばったりという感じですし、日銀の金融緩和策にしても「回りがうるさいからとりあえず緩和策でも・・・」と言うような印象です。金融緩和策を出して、何をどうしたいのかと言うところまで含み込むべきであり、緩和策で円安にしたいのであれば、同時に介入をすべきであったのではないかと思います。

 欧米や中国のように、周りが何を言おうと、どのように思われようと、「輸出で稼ぐ」と言うようなあつかましさも必要ではないかと思います。円売り介入をしたら米国が機嫌が悪くなったから止めると言うのではなく、円安にしないといけないのであればするべきですし、円高で生き延びなければならないのであれば、円高で生き延びられるような政策をはっきりと示すべきでしょう。内需拡大ということであれば、内需拡大で、個人消費をどのようにして伸ばすのか、雇用を何をどうすることによって増やすのか、将来への不安をどうして緩和するのか、など、示して欲しいものです。

 株式市場も目先的な動きばかりですが、政策の方向性が見られれば、将来収益が拡大しそうな業種や企業も絞り込むことが出来るのでしょうし、株価が割安なのか割高なのか、将来の姿から判断することも出来るようになるのでしょう。目先の為替の方向性さえ定まらないなかでは資金を投入したくなる企業を選びようがないと言うことなのだと思います。将来がしっかりと見えてくれば、今の状況を何をどうすればいいかもわかってくるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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