どのように抵抗すればいいのか? 甘い汁を吸ってきた“大人”たちにちきりん×赤木智弘の“ちゃかす”が正義(7)(2/3 ページ)

» 2010年09月24日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

「仕事=生きがい」と感じている人

赤木:これまで従業員の面倒は会社がみてきました。しかしこれからは、国が国民の面倒をみるというふうに変えていかなければいけない。で、経営者はいいところだけつまんでいってもいいんですが、単純に労働者を使い捨てにできなくなる。なぜなら労働者は国に面倒をみてもらっているので、彼らは生活を危険にさらさなくても経営者に盾突くことができるから。経営者はこれまでのように、低賃金で労働者を雇うことが難しくなるでしょう。

 今の状況は経営者が労働者の生活を守っているので、労働者は経営者に盾突くことができません。せいぜい予定調和のベア要求くらい。しかし労働者が頼るのは国になると、労働者と経営者の関係は大きく変化することになるでしょう。

ちきりん:ただその話は、うまく回っていかないような気がします。なぜなら国が労働者の面倒をみるとなると、国は莫大なお金が必要になるからです。一方で労働者が企業に盾突くようになれば、企業は追い詰められるかもしれませんが、現実には海外という逃げ道がある。企業が逃げ出す国で、どうやって労働者の面倒をみるための原資を国は得られるのでしょう?

 例えば企業は円高になるだけで、海外に出ていこうとしている。円高でなくても、人口が増えない国に、工場をたくさん持っていても仕方がない。なのでなにもなくても企業はどんどん海外に出て行くでしょう。それは自然の流れのように思えます。

赤木:もし企業が海外に出て行ったとしても、そこに対する穴埋めはあるはず。会社を経営したいという人はたくさんいますし。仕事以外の生きがいを見つけたとしても、仕事に生きがいを見い出すこともできる。今は「仕事だけが生きがい」という人があまりにも多いことが問題。

ちきりん:確かに「仕事=生きがい」という人は、そこに社会的な尊厳が含まれていると思います。だから失業してしまうと、他者から認められないので非常にツライ思いをしてしまう。

 ただ今は「仕事=生きがい」ではない人もたくさんいると思います。30〜40代で面白い仕事をしている人は、「仕事=生きがい」と感じているかもしれません。でも今の50代以上で「仕事=生きがい」と言い切れる人は、ものすごく少ないのではないでしょうか。

 自分が行っている仕事は、「20代の給料分」ほどの価値しかないと分かっている人も多そうです。でも家族や住宅ローンなどいろいろなモノを抱えているので、会社を辞めるわけにはいかないだけでしょ。なので「仕事=生きがい」と感じている人の数は、世代によって大きく違うのではないでしょうか。

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