赤木:50代以上の人たちを仕事から解放する手段が、今の日本にはありません。
ちきりん:そうですね。
赤木:結局、企業にいないと今の生活が破たんしてしまう。
ちきりん:やはり無理矢理にでも、彼らから仕事を引っぺがすしか方法はないんでしょうか。
赤木:そうですね。ただいきなり引っぺがすと給与を失い、家を失い、家族も失うかもしれない。そういうわけにはいかないので、そこで国が労働者の面倒をみなければいけない。
ちきりん:赤木さんは解雇規制を緩めるべきだと思いますか?
赤木:緩めるべきだと思います。なぜなら、どんどん緩めていかないと仕事がシェアされないから。
ちきりん:赤木さんの著書の中で、このようなことが書かれていました。「お金持ちの人がいて、安定的な労働者がたくさんいて、一番下に虐げられた人がいる。安定的な労働者を流動化して、仕事をシェアしていけばいい」と。
赤木:スポーツの世界でよく言われることですが、裾野が広がれば山の頂点は高くなる。例えば日本の野球が強いのは、少年野球から草野球まで裾野が広がっているから。こうした地域スポーツやクラブチームの数が少なければ、そのスポーツは強くなりにくい。
仕事も同じことで、働けない人が増えることは裾野が広がっていかないことなので、経済成長も難しくなっていく。例えば派遣社員でも正社員並みまたはそれ以上の能力を持っている人しか働けないという状況は、山の頂点が低くなるということ。多くの人を経済活動の中に巻き込むためには、仕事をシェアしなければいけない。
→次回、9月28日掲載予定。
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兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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