芳しくない経済指標も金融緩和期待もあって大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年09月21日 08時43分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10753.62△145.77

<NASDAQ>2355.83△40.22

<為替:NY終値>85.69-85.75

芳しくない経済指標も金融緩和期待もあって大幅高

 朝方発表された住宅価格指数は予想を若干下回り、引き続き冴えない住宅市場環境を示したのですが、特に材料視されることもなく、逆に下げ渋りが確認され、全米経済研究所(NBER)が米景気後退は昨年6月に終了したと認定したのですが、これも特に材料視されることもありませんでした。日本市場が3連休となっていた間の週末も好調な決算に反応するものや自社株買いに素直に反応して堅調となっており、週明けの上昇までダウ平均は4日連騰、ナスダック指数は9日連騰となりました。

 FRB(連邦準備理事会)に対する信頼ということなのだと思いますが、FOMC(公開市場委員会)に対する期待も強いようです。足元の景気回復が順調に進んでいるとの見方も出て来ているのですが、ドル安効果が取りざたされているわけでもなく、芳しくない雇用や個人消費、住宅関連指標を持ち上げては追加の金融緩和を期待しているようです。ただ、景気の回復鈍化懸念も薄れており、好材料への反応も良く、目先的な過熱感はあるものの堅調な地合いは続くものと思います。

 個別には先週末は予想を上回る決算を好感してオラクルが高く、TI(テキサスインスツルメンツ)は自社株買いを発表して買われるなどハイテク銘柄が堅調となりました。週明けにはIBMがデータ処理関連ソフト会社の買収を発表、好感して買われ、引き続きインテルなども堅調、グーグルが大幅高、アップルも高くなるなどハイテク銘柄は堅調となりました。金利低下を好感してアメリカン・エキスプレスが大幅高、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカも高くなるなど金融株も堅調、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコアなど景気敏感株も高く、原油や金価格が堅調で、エクソン・モービルなどの石油株やパブリック・ゴールドなどの金鉱株も高くなりました。

本日の相場

日経平均

 連休前の日本市場は米国株高や為替の落ち着きを好感して買い先行となり、目先の需給に振らされながらも持高調整の買い戻しも多く、大幅高となりました。何が買われたということでもなく全体がかさ上げされた格好で物色対象が絞りきれず、盛り上がりに欠ける展開となりました。外国人も買い越し基調で持高調整の買戻しを急ぐ動きもあったものと思います。

 日本市場が3連休中の米国市場は堅調、大幅高となり、日本市場も堅調な展開が期待されます。為替は期待したほど円安には振れておらず、中国の問題なども懸念されるところではあるのですが、中国での生産拡大、新興国の経済拡大の動きも変わらず、欧州での金融不安も薄れ、米国でのデフレ懸念も薄れていることから、日本市場も水準訂正となる可能性もありそうです。為替の落ち着きなどもあり、ハイテク銘柄など輸出関連銘柄の見直しと、先行きの業績悪化懸念が薄れてきたことから、9月末の配当を期待した買いも入って来るのではないかと思います。

 日経平均は9500円〜600円水準での底堅さが確認されつつあり、今度は9800円〜900円の次の節目を目指すことになりそうです。下期の上方修正期待が強まれば10000円台回復も期待できるのですが、為替動向も含めてまだまだ疑心暗鬼であり、そこまで楽観的になるのはもう少し先ということになるものと思われ、いったんは9500円〜600円水準での底堅さを確認して、10000円手前での上値の重さを確認するような展開となって来るものと思います。

本日の注目点

◇7月の景気動向指数改定値

◇2010年の基準地価(7月1日時点の価格)

◇米連邦公開市場委員会(FOMC)

◇8月の住宅着工件数

◇3−8月期決算:あさひ(3333)

◇6−8月期決算:米アドビ・システムズ

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