先行き懸念が根強く大幅高の反動もあって大幅反落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年08月31日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10009.73▼140.92

<NASDAQ>2119.97▼33.66

<為替:NY終値>84.63-84.69

足元の個人消費は好調だが、先行き懸念が根強く大幅高の反動もあって大幅反落

 朝方発表された個人消費支出は前月に比べて増加、3月以来の増加幅となるなど好調とされたのですが、先週末の半導体大手の業績下方修正を蒸し返すように景気回復鈍化が懸念されて売り急ぐ展開となりました。日本の日銀金融政策決定会合の結果も抜本的な円高対策にはならないと見て、投機的な円買いも見られ、信用収縮懸念もあり、原油先物相場が軟調となるなど、リスク資産を売り急ぐ動きも見られたものと思います。景気の先行きに対する不安が根強く、ちょっとした売り材料に反応するようです。

 M&A(企業の合併・買収)に絡む話題も豊富でしたが、特に材料視されることもなく、買収される側が買われ、買収する側が売られる展開となりました。月末・月初とあって、今週は主要な経済指標の発表も多く、指標の改善に期待が持てない中で手仕舞い売りを急ぐ動きやヘッジ売りも嵩んだものと思います。足元の景況感がそれ程悪いとも思えないのですが、日本の円安政策に対抗するかのようなドル安政策のために景気の先行きに対する不安を煽っているかのようです。

 個別にはインテルが先週売上見通しを下方修正したことを受けて同業のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やテキサス・インスツルメンツ(TI)が大幅下落、インテルも買収の話題もあり軟調となり、IBMなどハイテク銘柄は軒並み軟調となりました。足元の消費は好調と伝えられたのですが、景況感の悪化からホーム・デポやウォルマートは軟調、景気敏感銘柄とされるキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコアなども軒並み安くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場週末の米国株高や円安に振れたことに加え、日銀が臨時の金融政策決定会合を開催すると伝えられたことから、追加金融緩和を期待した買いも入り大幅高となりました。外国人も売り買い共に少ないながらも買い越しと伝えられたことや、円高となったことまた、週末のヘッジ売りの買戻しもあって大幅高となりました。後場に入って日銀の金融政策決定会合の結果が伝えられると失望感もあって上げ幅縮小となりましたが、政府の経済対策に期待する動きもあり、値持ちの良い展開となりました。

 米国市場が大幅下落となったことや為替が大きく円高に振れたことに加え、昨日の大幅高の反動もあって売り先行となりそうです。米国でも足元の消費などが悪いわけでもなく、7月の世界半導体売上高は4カ月連続で過去最高を更新するなど、世界的な景気も決して悪いものでもないのでしょうが、欧米も自国の景気対策としての通貨安を容認している感じであり、円高が止まらないと昨日の日銀の対策も効果がないとの判断でハイテク銘柄など輸出関連銘柄を中心に売り直されてしまいそうです。

 日経平均は節目と見られる9200円水準で上値を押さえられた格好となりました。為替が円安方向に水準訂正となることもなく、再び9000円を割り込む可能性も高くなりました。米経済指標の好転や日本の更なる経済対策が見られる、あるいは円高対策の効果から円安となることがなければ、8800円水準から9200円水準でのもみ合いが続くような展開となりそうです。円安方向への水準訂正となれば、9500円〜600円水準の節目を目指すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇8月の為替介入実績(財務省)

◇7月の鉱工業生産指数速報(経産省)

◇7月の商業販売統計速報(経産省)

◇7月の毎月勤労統計速報(厚労省)

◇7月の住宅着工戸数(国交省)

◇7月の建設工事受注(国交省)

◇7月の自動車生産・輸出実績(自工会)

◇4−6月期のインド国内総生産(GDP)

◇米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表(8月10日分)

◇8月のシカゴ購買部協会景気指数

◇8月の米消費者信頼感指数

◇6月のS&P/ケース・シラー米住宅価格指数

◇ブラジル中央銀行通貨政策委員会(9月1日まで)

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