この展示会はどういうきっかけで始まったのでしょうか?
デザインフォーラム・フィンランドという公的機関が主催し、2年前から準備を始めました。省庁や航空会社、大学などの協賛を受けた国家的なプロジェクトです。
キュレーションはイルッカ・スッパネンさんとお2人で担当されますね? それはどうしてですか?
私も驚いています。その理由はデザインフォーラム・フィンランドに聞いてみましょうか。だって私たちはまったく違うタイプのデザイナーですから。イルッカはフィンランドの中でも前衛的な挑戦をするタイプ。私は最近、伝統的な技術やスタイルに興味を持っています。同じだったことは、それぞれが行ったプレゼンで、予算の見積もり金額がまったく同額だったと聞きました(笑)。
日本とのつながりも重視されたのでしょうか?
私もイルッカも10年近く、日本の企業や友人と交流を続けています。ほぼ毎年、多いときは2、3回、来日しています。その背景も大きいでしょう。ちなみにこのプロジェクトでは、彼とはほとんど一緒に作業しています。分業するということはありません。というか、それができないほど、2人でいろいろと考えています。
今回のキュレーションでは何が大変でしたか?
客観性を保ち続けることです。アートを選ぶのと違って、企業はさまざまな利害がからみます。たくさんのプレッシャーがあり、心を鬼にして、デザインという観点から、日本市場に適した企業を選びました。
特に印象に残った企業はありましたか?
はい。屋外用のリュクサックをつくるSavottaです。この企業ではアウトドアの遊び道具だけではなく、災害時の救助用のバックパックもつくり赤十字社に寄贈したりしています。そういった社会的な姿勢も評価の対象でした。実はSavottaは、私の故郷のメーカーでした。今回のキュレーションでは、自分も知らなかったフィンランドのものづくりやデザインを知る、貴重な機会となりました。
会場構成はどのようにする予定ですか?
作品テーマと参加企業を6つの色に分けます。その色がそれぞれ「スパーク」となり、ひらめきを喚起するというアイデアです。さらに会場の提案で、当初の予定より会場を広く使うことができます。1階、3階、7階で合計1000平方メートル、しかも大きな1つの会場ではなく、点在しているのも面白いポイントです。
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