コラム
» 2010年08月05日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:そこは生活を設計する場 IKEA人気の秘密 (1/3)

日本でも次々と店舗をオープンさせている、スウェーデンの家具チェーンIKEA。世界中で人気を集めるIKEAだが、何が消費者たちを引きつけているのだろうか。新三郷店で行われたプレスカンファレンスに参加して、その秘密を探った。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba」。Twitterアカウントは@Yoshifumi_Go


 「これが……家具店?」

 私が初めてIKEAを訪れたのは15年前、カリフォルニア州Costa Mesa店だった。米国に駐在するに当たり、アパート家具を物色に行ったIKEAでまず驚愕したのは、入口にある子どもの遊び場。子どもを遊ばせて、パパとママはゆっくり家具を物色するというわけだ。2階に上がると、驚愕は感動に変わった。リビングからダイニング、キッチンからベッドルーム、そしてバスルームと、生活動線で家具を選ばせる仕組み。しかもお手頃価格だ。

 ワンウエイ(一方通行)のルートを歩きながら、「ウチのあそこには、これどうかしら?」「いや、こっちの方がいいよ」「でも……」と、ウチが大きくても小さくても、夢を広げたり縮めたりしながら配置を考える。買うところが終着点ではなく、持ち帰って組み立てて物語が完結する巧みさ。Costa Mesa店には何も買わなくても何度も通った。そんな私に先日、IKEAから招待状が来た。

 「7月29日にIKEAプレスカンファレンスがあるのですが、行きませんか?」

 IKEAフェチの私はBusiness Media 誠編集部から転送されたメールに3秒で返信。そして当日、多くの報道陣を乗せたバスに同乗して、IKEA新三郷店へ向かった。ファン気分は私だけかもしれなかったが。

ah_1380.jpg IKEA新三郷店の案内板

IKEAの要(かなめ)

 プレスカンファレンスのテーマは「8月1日を“やっぱり家の日”に制定」。“や”っぱりで8月、“イ”エで1日。世界最大級の家具カンパニーIKEAが、世界で2億冊、日本でも900万冊配布するカタログ制作を記念して、語呂合わせで制定した。世界のIKEAにしては、日本っぽいことをするなあ。

 バスの中で流された、IKEAの歴史DVDも食い入るように見た。パーティクルボードの製造工程が圧巻だ。とてつもないデカさのボードを製品別にカットし、55ケ国、1000の協力工場に運ばれての製品加工はグローバルなメリットを生かしているという感じだ。

 流通上の積載効率から作られたフラットパック“段ボール梱包”の秘密も興味深い。お持ち帰りのため総重量は36キロ以下で、段ボールを開いたサイズを最小スペースとして、組み立てられるように設計している。

 このパーティクルボードと段ボールが、37カ国に313店舗(2010年5月現在)展開しているIKEAの世界共通製品流通の要(かなめ)なのである。

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