そこは生活を設計する場 IKEA人気の秘密郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2010年08月05日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

記者会見にて

 記者会見ではイケア・ジャパンのラース・ペーテルソンCEOや新三郷店ストアマネジャーの泉川玲香さんらが登壇。日本の“我が家”の写真を次々に映し出し、「『家』がIKEAの原点」と語った。

 “やっぱり家の日”を作るほど、IKEAが日本に肩入れするのはなぜだろうか? 聞けばIKEA店舗の発祥の地であるエルムフルト(スウェーデン)でも、日本の3LDKのスタジオを作り、日本人の住まいを研究しているという。新三郷店にも“日本間”ショールームがあるのだ。

 「日本発のデザインもあるんです」

 イケア・ジャパンのリージョナルPRの岡田衣世さんは言う。「世界で日本のデザインが注目されていますが、IKEAのランプシェードや四角いお皿も日本デザインですね」

 IKEA本社にも日本人がいる。1970年代にはデザイナー中村のぼるさんが活躍。彼がベストセラーのリクライニングチェア「POANG(ポエング)」を生み出した。今も、日本人女性デザイナーが、IKEAのトップデザイナーの1人として家具デザインをしている。

 記者会見の後、懇親会と称した“ザリガニパーティー”が催された。スウェーデンでは8月になるとザリガニを食べる習慣があるという。食べてみると、意外とうまかった。手をふいてから店舗内をぶらり。「35平方メートル」と表示があったスペースには、リビングあり、子育てあり、浴室あり、子ども部屋あり。こじんまりとした日本間にIKEA家具が溶け込んで、違和感がない。

もう一度新三郷店へ

 なるほど、カタログ、記念日、日本人デザイナー、和の住まい研究、ザリガニ。世界共通仕様の家具なのにローカライゼーション(現地化)の努力も惜しまない。売るために必要といえ、なぜここまで力を入れるのだろうか?

 何か足りない。何か見落としている。迷ったら原点・現地・現実へ。会見の翌々日の土曜日、再び新三郷店へ行った。

 リビングコーナーで見つけたのが「PSセルマ」。女性4人組デザイナーのFRONTが手がけた“物語椅子”は、スウェーデンの歴史が書かれたマット兼背もたれパッドを、代わる代わるめくれるようになっている。もっと歩くとPOANGがあった。座り心地がいいから、スウェーデン人は長寿命になるのかもしれない。その脇には“お子さま用”POANGも。ちっちゃい姿がかわいかった。

PSセルマ(左)、POANG(右)

 めちゃ混みのにぎわいなのに、お客さんの表情は生き生きしている。あれこれ迷って測って比べる時の楽しい表情の数々。泉川さんが「プレスの方もぜひ買ってください」と話していたので、私も1つ買うことにした。選んだのは真っ赤な引き出しユニット「HELMER(ヘルメル)」。結構重かったが、何とか持ち帰った。

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