相変わらず芳しくない景況感と好調な業績がせめぎ合ってまちまちの展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年07月28日 08時46分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10537.69△12.26

<NASDAQ>2288.25▼8.18

<為替:NY終値>87.89-87.95

相変わらず芳しくない景況感と好調な業績がせめぎ合ってまちまちの展開

 好調な決算発表が続々と発表され、朝方発表された住宅価格指数は予想を上回って上昇となりましたが、消費者信頼感指数が予想を下回ったことや前日までの上昇を受けて利益確定売りもあり、指数はまちまちとなりました。景気回復鈍化懸念は薄れているものの、まだ楽観的になっているともいえず、好調な決算発表も先行きに対する警戒感から素直な反応となり切れず、買戻しを急ぐ動きはあるものの、完全に強気にはなり切れないという感じです。

 景気の「悪化」に対する懸念は少ないようですが、一方で「回復」に対する期待も少ないということのようです。ただ、企業業績は着実に回復しているものが多く、センチメントが変われば景況感も変わり、経済指標も好転してくるものと思われます。芳しくないとされている景況感ですら、決して悪化しているわけでもなく、ちょっとしたことでセンチメントが変われば、一気に楽観的な見方になってくるものと思います。

 個別には消費者信頼感指数の悪化を嫌気するようにホーム・デポなど個人消費関連銘柄が安く、金価格が大きく下落となったことから、パブリック・ゴールドが大幅安となるなど金鉱株が安くなりました。キャタピラーは利益確定売りに押されましたがGE(ゼネラル・エレクトリック)が堅調となるなど景気敏感銘柄もまちまちとなり、インテルは軟調となったのですが、IBMやアップルは堅調となるなどハイテク銘柄もまちまちとなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や好決算への反応が鈍く方向感なく小動きとなりました。決算動向は堅調なものが多いのですが、先行きへの懸念が根強く、素直に決算発表に反応できないと言う感じです。決算発表への反応を見て反応する動きが多く、しかもいったん反応したものもその反応が長続きすることもありませんでした。米国市場の落ち着きに好決算が加わって底入れ感も出てくるかと思われましたが、特に材料のないなかで疑心暗鬼になっているようです。

 米国市場はここのところの上昇もあってまちまちとなりましたが、総じて堅調となっており、日本市場も昨日は冴えない展開となりましたが、さすがに円安を好感する動きも出て堅調な展開が期待されます。決算発表が本格化するなかで円高の影響などを懸念する向きも多く、先行きに対する警戒感が根強いのですが、新興国の経済拡大の恩恵が大きく、大きな業績の落ち込み懸念は薄れているものと思います。足元好調で、先行きに対して慎重な見方となっている決算なども上振れ余地があるのかどうかで判断したいと思われます。円安を好感して好決算が期待されるハイテク銘柄などを物色する展開になりそうです。

 日経平均は引き続き9500円〜600円水準が下値になるのか上値になるのかを判断するような展開だと思われます。円安を好感して指数が押し上げられる可能性も高く、9600円を抜けてくれば、9500円〜600円水準での底堅さが確認されたとして9800円〜900円水準を目指すことになりそうです。新たな市場参加者が増えないことにはその水準を抜けて来ることは厳しそうですが、決算が出揃って次の判断となるまでは9000円台後半でのもみ合いとなるかもしれません。好決算に素直に反応する動きが多く、その動きを見て参加者が増えれば10000円台回復となるのでしょう。

本日の注目点

◇1−6月期決算:協和キリン(4151)

◇4−6月期決算:新日鉄(5401)、コマツ(6301)、NEC(6701)、三洋電(6764)、プロミス(8574)、JR西日本(9021)、京王(9008)

◇米地区連銀経済報告(ベージュブック)

◇6月の米耐久財受注額

◇米エネルギー省の石油在庫統計(週間)

◇米5年物国債入札

◇4−6月期の豪消費者物価指数(CPI)

◇海外4−6月期決算:コノコフィリップス、スプリント・ネクステル、ボーイング、ビザ

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