コラム
» 2010年06月01日 08時18分 UPDATE

松田雅央の時事日想:素人の私が、ソーラー工事に挑戦してみた (1/3)

ソーラー工事を手掛ける知人に誘われ、筆者の松田氏は工事を手伝うことに。日頃は環境ジャーナリストとしてソーラー発電の話題を扱っているが、設置作業に関しては全くの素人。果たして、慣れない高所作業でうまくできたのだろうか。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 Business Media 誠(3月23日)で掲載された「ドイツで、ソーラーエネルギーが見直されている理由」のようにソーラー電力の買取り保証価格はこの夏一挙に16%引き下げられる。ソーラー発電設備を検討している出資者にとって保証価格の引き下げは痛いが、それでも十分な経済的魅力があるため需要は相変わらず旺盛だ。

 買い取り価格の値下げはソーラーモジュール(ソーラーパネル)の値下がりを織り込んだもので、再生可能エネルギー法が施行された2000年以降、年率5%程度の引き下げが決められている。モジュールは量産化と製造技術の進歩により年々値下がりするからだ。下げ幅5%が16%に急きょアップされたことは、市場価格の値下がりがそれだけ早い速度で進んでいることを示している。

 実はこの前、ソーラー工事を手掛ける知人に誘われ2週間ほどソーラー発電設備工事(以後、ソーラー工事)に従事してきた。日頃からジャーナリストとしてソーラー発電の話題を扱ってはいるが、設置作業に関しては全くの素人。人手不足のおり、こんな素人でも役に立つということで、慣れない高所作業に挑戦した。

 今回と次回の時事日想は作業者の視点からドイツのソーラー工事事情をレポートする。

酪農からソーラー発電事業に転換

yd_coun.jpg シュトゥットガルト市(出典:Google Maps)

 今回の設置現場は、シュトゥットガルト市近郊の農村にある酪農家Aさんの飼育小屋。設置場所は緩やかに傾斜した南面の屋根で、傾斜角・方角とも条件は悪くない。面積約300平方メートルの屋根におよそ160枚のソーラーモジュールを設置し、最大出力は約30キロワットとなる。一戸建ての屋根にソーラー発電設備を設置する場合、最大出力1〜2キロワット程度が一般的だから、個人が設置するものとしては中規模のカテゴリーに入る。

 Aさんはこの飼育小屋で40頭ほどの乳牛を飼育していたが、すでに酪農は止めており、代わりにこのソーラー発電事業を始めるそうだ。飼育小屋の屋根はソーラー工事に備えてスレート(石綿セメント板)の葺(ふ)き替え工事を終えたばかり。ちなみにAさんはバイオマス発電も手掛けている。

 牛乳の市場卸売価格は極端に低く、中規模の酪農家が専業で生き残ることは不可能だ。そういった中規模酪農家の代表的な選択肢は農家民宿や林業との兼業だが、Aさんのように酪農を完全に止めてソーラー発電事業とバイオマス発電事業に傾斜するというパターンもある。両事業がAさんの全収入の何割を占めるかは分からないが、農家にとっての新たなビジネスチャンス、あるいは生き残り策として注目される手法だ。

yd_matu1.jpg ソーラー工事を行なった(元)乳牛の飼育小屋
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