売り先行で始まるも底堅い展開、上値も重く方向感なく小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月31日 16時27分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場は大幅下落となったのですが、朝方発表された鉱工業生産指数が予想を下回ったこともあり、円高となっていた為替が円安となったことから、売り先行で始まったものの底堅い展開となりました。後場に入ると戻りを試すように堅調な展開となり、節目と見られる9800円台で引け、底入れ感も強まったものと思います。持高調整の売りも一巡となった感もあり、売り急ぐような動きが見られなかったこととも堅調となる要因となったものと思います。

 まだ日経平均は10000円の大台を割り込んだところで先行きに対する懸念も根強いのですが、先週見られたような奈落の底に落ちてしまうのではないかというような恐怖感は薄らいだものと思われます。まだ分かりませんが先週は夕刊紙の見出しにも「日経平均9000円割れも!」と出ていたように、相場というものは「もうだめだ」と思う人が多くなったところが底値になり、「まだまだ行ける」と皆が強気になったところが高値となることが多いのです。

 昨年来の相場を勘案してみても、大きな底流にあるものは「景気回復」であり、しかも欧米主導というよりは新興国からの景気回復でした。その上で、各国の経済政策や経済政策に対する期待から買われ、期待外れて売られるというようなことが繰り返されたものと思います。そしてその流れの中でファンド筋などが買い戻しを急いだり、手仕舞い売りを大量に出したりとリスク許容度の上下で世界の資金の流れが決まっていたような感じです。

 江戸時代の米相場のころから言われていたように、誰もが強気になるときは下がるということであり、誰もが弱気になるときが相場も底をつけるということなのでしょう。あまりに近視眼的になるとこうした動きが毎日に繰り返されることになり、毎日毎日強気になったり、弱気になったり、相場に振らされて右往左往することになってしまうのでしょう。大きな流れの変化を見落とさず、余裕を持った投資をしていれば大きな損となることも少ないのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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