米国金融規制強化懸念からの信用収縮=リスク許容度の低下を受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年04月19日 15時56分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 10908.77円 ▼193.41円
売買高 20億2864万株
日経平均先物 10910円 ▼180円
売買代金 1兆4314億円
TOPIX 970.84 ▼18.00
値上がり銘柄 159銘柄
東証マザーズ指数 489.37 ▼5.57
値下がり銘柄 1470銘柄
日経ジャスダック平均 1322.48円 ▼3.79円
変わらず 45銘柄
騰落レシオ 118.72% ▼11.90%

日経平均

米国金融規制強化懸念からの信用収縮=リスク許容度の低下を受けて大幅下落

 先週末の米国市場が大幅下落となり、為替も大きく円高に振れたことから売り先行で始まり、大幅下落となりました。先週末に既に先取りするからのように大幅下落となっていたことや外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が買い越しと伝えられたこともあり、底堅い展開を期待する向きもあったようですが、寄付きの売りが一巡した後も戻りの鈍さを確認しては売り直されてじり安となりました。投資信託の設定などもあり、「スマートグリッド」関連銘柄の一角や業績上方修正を発表した銘柄などに堅調なものも見られましたがほぼ全面安となりました。

 後場に入ると一段安となる場面も見られました。過熱感が強かったこともあり、週末に大幅下落となったにも関わらず売り一巡感はなく、戻れば売られ、下がれば売られるというような展開で下値を探る動きとなりました。それでも節目の一つと見られる10900円水準を割り込むところでは目先筋の買戻しや業績回復銘柄への押し目買いも入り大幅安ながらも下げ一服となりました。それでも買い戻しが一巡すると買い気の乏しい市場で売り直される銘柄も散見され、結局最後まで戻り切らず、戻りの鈍さに見切売りが嵩んでかろうじて10900円台は保ったものの安値圏での引けとなりました。

 小型銘柄も軟調となりましたが、利益確定売りを急ぐ動きはあるものの下値を売り叩くような動きは限定的で、東証マザーズ指数も日経ジャスダック平均も軟調と言うに止まりました。先物も売り叩く動きはないものの買い戻しや押し目買いも限定的となり、指数を下支えすることもありませんでした。逆に売り叩く動きもほとんどなく相変らず目先筋の小掬い商いが中心となっていたものと思われます。

 景気回復を織り込む相場でも行き過ぎとなったところで買い手が引っ込むと大きな下げとなるようです。ただ、まだ基調は強含み、業績回復を織り込む動きであることには違いなく、信用収縮懸念はあるものの、信用供与が過大となって投機的な動きが過熱していたというわけでもなく、下げも限定的となって来るものと思います。買われ過ぎの修正から過熱感を冷ます動きとなって来るものと思われますが、逆に今度は「売られ過ぎ」となったとしても、この水準からは底堅さも見られるものと思います。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 基準線を割り込み一気に1月高値水準まで大きな下落となりました。節目水準ではありますが、遅行線が日々線のサポートを探るまではもう少し下値余地もあり、RSIやストキャスティックスも底値圏に近くはなりましたが、まだ下落が続いて下値余地もあり、もう少し日柄での調整か、値幅での調整が必要ということなのだと思います。さすがに先週末と週明けと2日続けての大幅下落であり、遅行線が日々線のサポートを探りながら下値を確認することになりそうです。

TOPIX

NYダウ

 高値圏でのもみ合いを一気に下に放れてきました。それでも上昇が続く基準線にサポートされており、ちょうど1月高値水準でもあるので、この水準で下げ渋るかどうかが注目されます。RSIやストキャスティックスはまだ、下値余地があり、下落が続いており、基準線にサポートされながら日柄の調整となるか、基準線を割り込んで値幅の調整となるものと思います。基準線を割り込むと遅行線が日々線を意識するところで下げ止まるのでしょう。

円相場

NYダウ

 基準線のサポートを確認するように急落となりました。1月高値水準でのもみ合いの下値水準=2月の戻り高値水準まで一気に下落となり、ここで下げ止まらないと雲のサポートを確認するような水準まで下落となるものと思います。RSIやストキャスティックスはまだ下落が続き下値余地もあり、雲のサポート、遅行線が日々線のサポートを確認する水準=90円台まで下落となる可能性もありそうです。

銘柄ピックアップ

米国金融機関訴追で信用収縮懸念が強まり大幅下落

KDDI(9433) 461500 ▼12500

 一時大幅安で年初来安値更新となりました。先週末の引け後に2010年3月期の連結純利益が小幅増加を見込んでいた従来予想から一転、減益となったもようと発表、嫌気した売りに押されて売られました。

コナミ(9766) 1804 ▼117

 大幅下落となりました。先週末の引け後に発表した2010年3月期の連結業績予想の下方修正を嫌気した売りに押されました。今期業績回復期待から買われて年初来高値となっていただけに下げがきつくなりました。

宇部興(4208) 241 ▼5

 2010年3月期の連結営業利益が従来予想を上回ったようだと新聞で報じられましたが、会社側計画でも上振れを示唆していたことから特に驚きはなく、地合いの悪さに押されて軟調となりました。

日 立(6501) 380 △1

 米国株の大幅安や円高など地合いの悪さに押されて売り先行となったものの、2010年3月期の連結営業利益が前の期に比べて3割程度増え、市場予想を上回ったもようと新聞で報じられたことから、寄り付きの売りが一巡したあとは切り返し、底堅い堅調な展開となりました。「スマートグリッド」関連銘柄として投資信託の買いもあったものと思います。

高岳製(6621) 374 △22

 総じて軟調となる中で大幅反発となりました。先週末の引け後に2010年3月期の連結営業利益が従来予想の大幅減益から一転大幅増益となったと発表したことや「スマートグリッド関連」として買われました。

富士電HD(6504) 278 ▼1

 経済産業省がエネルギー基本計画案で「スマートメーター」をほぼすべての世帯に普及させる目標を掲げると新聞で報じられたこおから、「スマートメーター」事業を出がける同社の収益拡大が期待されて買われ、底堅い展開となりました。

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