米国金融機関に対する訴追を機に金融規制強化に対する懸念から米国株が大幅下落、日本市場も円高となったこともあり、大幅安となりました。信用収縮=りすく許容度の低下も懸念され、商品市況が軟調、高金利通貨も下落するなど典型的な「手仕舞い」症状となりました。一方で「スマートグリッド」投信設定と言うこともあり、スマートグリッド関連銘柄は底堅い堅調な展開となるなど、目先の需給要因に振らされる展開には変わりないようです。
過熱感が強いにも関わらず堅調な相場が続いていましたが、さすがに過熱感が強かったこともあり、下がり始めると大きな下げとなります。物色一巡感もあり、一旦手仕舞うという動きも強まったものと思われます。それでも、米国市場でもディフェンシブ銘柄に底堅い堅調なものが見られたように、ディフェンシブ銘柄の一角が底堅くなりました。「スマートグリッド」関連銘柄には投資信託の設定もあり、堅調なものも見られました。
金融機関に対する不振が強まってここまでの景気回復を織り込む動きにも変化が見られるかもしれません。金融規制強化も一種の「出口戦略」=「金融引き締め」と同じ効果があり、投機的な動きで上昇していた銘柄などは買われ過ぎの修正となって来るのかも知れません。ただ、前回の金融規制強化が懸念された1月から2月に掛けての下落時と違い、業績の裏付けのある上昇となっているものが多く、特に商品市況などは投機的な買いは少なく、実需の買いで上昇となった分、調整も小さくて済むのではないかと思います。
大きな調整のように見えますが、過熱感が強い中で買い戻し中心、持高調整の買いが中心となって上昇していたものが、行き過ぎた分を戻したと思えばまだまだトレンドに変化はないと見てもいいのではないかと思います。金融相場から業績相場に移行しつつあることには違いなく、金融引き締めが取り沙汰されるくらい業績の回復が見られると考えれば分かりやすいのではないかと思います。「降れば土砂降り」とばかりに上にも下にも行き過ぎるのが今の相場であり、売られすぎれば買われ、買われすぎれば売られるというkとで冷静に対処したいと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング