経済指標の好転から堅調だが、過熱感も強く上値も限定的清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年03月31日 08時29分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10907.42△11.56

<NASDAQ>2410.69△6.33

<為替:NY終値>92.8-92.86

経済指標の好転から堅調だが、過熱感も強く上値も限定的

 朝方発表されたS&Pケース・シラー住宅価格指数に下げ止まり感が見られたことや消費者信頼感指数が予想を上回ったことなどから堅調となりました。ただ、目先的な過熱感も強く、個人消費や住宅価格も回復に向かっていることから「出口戦略」などが気になり、利益確定売りがかさみ指数も軟調となる場面もがありました。最後は新機種の開発などからハイテク銘柄や通信株が買われ堅調となりました。商品市況もドルが堅調となった割には底堅い堅調な展開で素材株などの下支え要因となったものと思います。

 S&P500指数がほぼ横ばい、となったように目先的な過熱感が強く、上値も重くなっていますが、出口戦略が取り沙汰されるまでの業績を織り込む過程で、水準訂正となっているものと思います。商品市況なども投機的な動きで過熱感が出ているわけでなく、実需的な動きが底堅い堅調な展開となっており、経済そのものが「良い方へ」回転しているものと思われます。国債金利も上げ一服(債券価格は下げ一服)となりましたが、ここから株式市場は金利動向などにも敏感に反応するものと思われます。

 個別にはアップルがベライゾン・コミュニケーションズの傘下企業向けに新機種を開発しているとして両社が買われて堅調、現在のアップル製品を独占販売しているAT&Tは軟調となりました。インテルは小幅高、グーグルやマイクロソフト、IBMなどハイテク銘柄は総じて堅調となりました。四半期決算の内容が予想を上回りそうだと伝えられたスリーエムが高くなりました。一方、金融株は利益確定売りに押されるものが多く、シティグループ、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカなど軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高を受けて買い先行で始まった後も過熱感が強い中、先物のまとまった買い戻しなどを交えて堅調な展開となりました。後場に入ると買い戻しを急ぐ動きなども見られ、業績回復が期待される銘柄を中心に買われ、大幅高となりました。月末・期末のお化粧買いや日米の経済指標の上振れに期待する動きもあって、買い急ぐ場面も見られたものと思われます。業績回復を織り込むように強含みの展開となっています。

 米国市場が堅調となり、為替も引き続き円安傾向にあることから、買い先行となりそうです。ただ、過熱感が強まっており、米国市場同様に利益確定売りに押されて上値の重い展開となるものと思われ、利益確定売りが嵩めば軟調となる場面もあるかもしれません。業績回復期待が強く売り急ぐ動きはなさそうで、全体的には底堅く、出遅れ感が強い銘柄などが物色されるのかどうかが注目されます。為替動向などから考えても内需株よりは輸出関連株に分がありそうで、業績回復が期待されるハイテク銘柄の中で出遅れている銘柄などが注目されそうです。

 11000円を抜けて引けたことで、今度は「11000円を割り込めば買い」と言うように11000円前後での底堅さを確認することになりそうです。その前に目先的な過熱感が強いなかで、米国市場が堅調、為替は円安と言う状況であるうちは上値を試す動きが続くのでしょう。外国人買いがどこまで続くのかと言う感じですが、月末のお化粧買い、日銀短観の上振れ期待、があるうちは強含みに推移しそうです。11000円台を固めれば11800円程度の水準を目指すことになりそうですが、目先的には11200円台半ばまで上昇すればいいところではないかと思います。

本日の注目点

◇2月の住宅着工統計

◇2月のユーロ圏失業率

◇3月のユーロ圏消費者物価指数速報

◇3月米ADP全米雇用レポート

◇12−2月期決算:シベール(2228)

◇2月期決算:キリン堂(2660)

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