昔、ある企業で「営業マンをリストラしないと」という話になりました。で、各支店の問題児というかリストラ候補者がリストアップされて、特別販売部隊という名前を付けられて、当時シェアの低かった九州に全員を転勤させ、九州の開拓にあたらせました。
突然、「九州に行け」と言われ、そんなところで新規開拓をさせられたら、辞める人は辞やめますね。
でも、本当に頑張った人もいたんです。しばらくして、当時、九州の支店長が東京の経営者のところにやってきて言いました。「本当にがんばっているやつもいる。そういうやつは俺に面倒を見させてください。辞めさせないで下さい。」と。経営者は「勝手にしろ」とだけ言いました。
本当にその時頑張った人たちは、その支店長に非常にかわいがられました。辞めた人も多かったものの、頑張った人の中には生き残った人もいました。
ただ、経営者にとっては、九州を開拓できても、営業マンが辞めてもどっちでも良かったのです。冷たいですよね……。かつ、支店長の頼みを聞いてやったという形を取っていますね。うるさい支店長を黙らせるカードにもなる。この支店長は頑張らざるを得ない。いろいろ、経営者の中で計算があったと思います。
汚いかもしれません。でも、打ち手がどっちに転んでもいい、そういう手を打つ。それは経営者として大事なのです。多くの経営者を見るにつけ、私は「甘いなあ」と思ったりします。本当に甘い。
人が行動できる量は限られています。行動の量を限界まで高めたら、その費用対効果を最大化するしかないのです。すごくシンプルですけどね。(伊藤達夫)
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