Twitterにお話を戻しましょう。Twitterである程度の人数をフォローしている時、ぼーっと見ていると、さまざまなことが流れて行きます。流れては消え、流れては消えて行きます。
自分の意思に明確に気が付いていない時、1つの情報を流し込まれるのは洗脳みたいで嫌ですが、TLは自分が選んだ人の情報が細切れに流れて行きます。ランダムに情報が流れるイメージに近い。そうすると、不思議なことが起こります。
「あれ、これって!」というつぶやきが勝手に目の前を流れていくのです。それを見ると、「ああ、俺はこういうことがしたかったのでは?」と自分の意思の輪郭が明らかになってきたりするのです。そして、リンクをたどったり、調べてみたりするのです。
これはよく考えるとすごいシステムです。Twitterを立ち上げておけば、何もない時、テレビをぼーっと見るのと違って、自分の意思に近いものを、目の前に持ってくることができる可能性があるのです。
また、キーワード化するのは難しくても、140文字でつぶやくことはできます。それに対して、いろいろ返ってくることもある。これが1つの画面でできてしまう。これまでにもクラウドソーシング的な質問箱や悩み相談室はありましたが、これほどダイナミックにレスポンスが返ってくるものはありませんでした。
これは、検索窓を前にして呆然とする、切ない体験がもはやなくなることを示しているのかもしれません。
ちまたでも、いろいろみんなに聞けるから検索の代わりになるといった言い方をする人がいます。確かにそれもあります。
でも、TLの真髄としては、意思がなくても、流れていく情報を眺めることで、自分の意思を引っ張り出せることにあるのではないでしょうか? つまり、「検索の前に明確化すべき意思を明確化する装置になり得るのでは?」ということです。
これはすごいことです。リスティングとSEOが最強の集客手段になりつつあり、マーケティングの中心はそこにある中で、その前工程を対象領域にするものが出てきているのです。
米Twitter社は黒字です。Googleがデータを買う契約をしたり、アライアンスを模索したりしているから、という側面があるでしょう。なぜ、GoogleはTwitterをこんなに大事に扱うのか? 不思議じゃないですか、理由が見えない。
でも、もしも次世代検索システムとしての可能性があるとしたら、ものすごいお金をかけてもおかしくないことですよね? 当然、Twitterの普及は、米国の貧しいブロードバンド事情なども関係があるでしょう。いまだにダイヤルアップの地域もありますからね。
日本はブロードバンドの超先進国なんですね。だから、見た目的にはTwitterを見ても衝撃はないかもしれません。もっとすごいサイトを見慣れています。日本人がTwitterを見ると、「何だろうこのシンプルなものは?」と思うでしょう。ただ、日本の事情にあったクライアントがそのうち出てきますので、見た目にも「すごい」と思えて、使ってみても「すごい」ものになるのは時間の問題でしょう。(伊藤達夫)
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