円安一服となり米国市場ももみ合いとなったのですが、堅調な展開となりました。目先的な過熱感から売られ、軟調となる場面もあったのですが、円安一服となった割りに米国での自動車販売に底入れ感が強まったことから、自動車株が堅調、大型増資が発表されたにもかかわらず銀行株が高くなるなど悪材料よりは好材料に反応、出遅れ銘柄を物色する動きもあり堅調な展開となりました。
銀行株が大型増資を発表したにもかかわらず株価は堅調となりました。悪材料出尽くしということですが、タイミング的に日経平均が昨年8月の高値を抜けたところでの発表であるだけに、割安感、出遅れ感から買い戻しも入ったものと思います。これがまだ高値を抜けていないところでの発表であった場合にはまた、別な反応となったものと思います。株価を動かす材料も好材料と悪材料が「紙一重」と言う場合もあり、その発表されるタイミングと言うことも大事なのではないかと思います。
金融担当大臣の辞任の問題も円高容認発言の後であれば為替への影響は大きかったのでしょうし、米国自動車販売が好調なことで自動車株が買われたのももっと円高水準で発表されたものであればまた、違った反応になったかもしれません。個別の材料が出た場合の反応もその周りの状況で違った反応になるということであり、現在の相場がどういった状況にあるのかを把握しておくことは重要なことではないかと思います。
昨日も述べたように現時点で市場では何が起きているのか、投資家や投機家は強気なのか弱気なのか、腰の据わった買いが見られるのか見られないのか、などをしっかりと把握しておけば、どの材料にはどのような反応があるのかどうかなどが分かると思います。「アジア市場が高いから、高い」などということは、米国市場で自動車販売が好調と言うことはしっかりと景気が回復している証拠であり、米国に輸出している企業が多いアジア株が高くなる、と言うことで、日本も含めたアジア株が高いということであり、中国株の動向を見て日本株を売買しているわけではないのです。しっかりと市場の状況、相場の状況を把握しておけば変なタイミングで売り買いすることもなくなるのではないかと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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