10000円の節目を意識して底堅さも見られるが買い手掛かり難で上値も重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月15日 16時03分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は昨年来の高値を更新しているというのに、日本市場では反応が鈍いものとなっています。日経平均は10000円台を固める動きで底堅さが確認されると買戻しや押し目買いも入り堅調となる場面もありましたが、積極的に買い上がる、あるいは「ここで買わなければ」と言うような雰囲気がありません。政策の方向感は全く見られず、何だか「政治」ではなく「政治ごっこ」と言うような様相を呈していると思います。

 為替は円高傾向にあり企業収益への影響も懸念されますが、新興国での業績拡大からの業績回復期待は日米の「国際企業」では大差なく、大きな違いは政策面の方向性の問題だと思います。ただ、その中でも個別の企業を見ていると、意思決定が早く、こうした逆風化においてもしっかりと舵が切れている企業もあり、そうした企業は景気回復と共に業績の大きな飛躍も期待出来ることになると思います。

 目先的な分かりやすい材料に反応する動きとなっていますが、新興国で着々と布石をうったり、地道な努力をしている企業が報われることもそう遠くはないものと思います。政策の先行きが見えないのですが、世界的な資金の流れや世界的な消費の動向などはどこで増え、どんな需要があるのかなどがしっかりと見えている企業は今後の近い将来に期待される景気回復がはっきりするところ他社との大きな違いとなるのでしょう。

 昨年の今頃は「100年に1度の大不況」と言われていましたが、恐慌に陥ることもなく、そうした中でも毎月売り上げを伸ばしている企業すら見られるのです。政治家などにも良く見られるのですが、失敗を他人や世の中のせいにして、責任を転嫁するということが多いのですが、他人に責任を転嫁するよなことをする前に、不況の次に好況があると見てちゃんと対処しているかどうかで今後の業績回復のスピードも変わって来るものと思います。縮こまってばかりではなく、「100年に一度の不況」からの脱出なのですから、「100年に1度のチャンス」としてもう一度いろいろと見直してみたいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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