懸念材料も後退したが、前日の大幅高の反動や金融緩和策への失望感から上げ幅限定清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月02日 17時17分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 日銀の金融緩和策発表から一夜明けて、失望感と期待感が入り混じり、方向感のない展開となりました。デフレ対策に動いたということは評価されるものの、内容としては物足りないということだと思います。為替もやや円高に振れたあと円安に振れるなど不安定な動きとなっており、まだ消化仕切れていないということでしょう。株式市場もまだ政府の経済対策を見てみないことにはデフレ脱却となるのかどうか判断できないということで、売られ過ぎ銘柄の修正はあっても積極的に買い上がる動きにはならないものと思います。

 デフレ対策として「ゼロ金利」まで踏み込んでもらいたかった感じですが、金利の問題よりもやはり資金がしっかりと流れるのかどうかが気になるところです。日銀総裁のコメントでは、ゼロ金利による「円キャリー取引バブル」再来を懸念するということのようですが、現在の米国では「ドルキャリーバブル」の国内還流で個人消費を喚起しようとしているのではないかと思います。ドルが軟調となってもドル暴落懸念が出ないことも、ドル安に対するコメントがFRB(連邦準備理事会)から出ないことを見ても、「ドルキャリー取引」の拡大を容認しているものと思います。

 米国でも個人消費にも回復の兆しが見られており、このクリスマス商戦で個人消費の回復が鮮明になれば、今度は米国も「出口戦略」からドル高方向に振れるものと思います。自動車の販売も米国でも回復しており、住宅関連の指標も好転しています。従来の消費社会が再現されつつあるということで、低金利が続けば米国の消費のますます増えるものと思います。米国では何年かに一度、その借金体質を否定するような事件が起きるのですが、すぐにまだ借金をして消費をする体質に戻ることが繰り返されています。

 そのように考えていくと、円高が懸念されてはいますが、早晩円安傾向に振れる可能性があり、米国の利上げよりも日本の利上げが遅れる可能性も高く、「円キャリー取引」が復活する可能性も高いのではないかと思います。したがって、円高メリット銘柄よりもデフレ対策も含めて、輸出関連銘柄の業績回復スピードが速まるのではないかと思います。輸出企業の国内工場などの稼働率が上がれば「内需拡大」にも繋がり、雇用の確保などへのメリットも出てきます。円高傾向で売られた輸出株の動きにを注目しても良いものと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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