米国株安や円高にもかかわらず売られ過ぎの反動もあって底堅く堅調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月25日 16時06分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は底堅いのですが、日本市場は相変わらずもたついた展開が続いています。デフレだというのに政府がなすすべもないことで、為替は円高傾向にあり、金利も思ったように下がらず、株式市場も低迷しているということなのでしょう。企業の業績回復が見られるなかでのデフレ宣言であり、ピンとこない面もありますが、政府のデフレ対策は是非必要ということでしょう。事業仕分けでの削減も必要でしょうが、エコポイントなど、「お金を使う」ようにする政策は必要だと思います。

 相変わらずさえない相場展開が続いています。デフレ懸念も根強い割りには、金利もあまり下がらず、為替も円高となっており、動きがちぐはぐとなっています。目先の需給に振らされている証拠ということなのでしょうが、円高を防ぐ、金利を下げることがデフレ克服につながり、株価も上がるということなのでしょう。当社の営業マンから、「経済月報の中で『デフレ』と言う言葉を使ったの2006年6月以来」と言うことを聞きましたがまさに2006年6月はトヨタ(7203)やキヤノン(7751)などが底値をつけたところであり、金利もあたりから低下、為替も円安となり、相場自体も上昇となったのです。

 考えてみると、「デフレ」ということは金利を下げることにつながり、金利が下がると金利差が広がるので円安に振れ、輸出企業にメリットがある、と言う連鎖となるはずです。現状も日本の景気が悪く、デフレであり、米国の景気が回復しているのであれば、日米金利差が再び逆転となる可能性も出てくるということなのです。つまり、デフレということは日本国内でモノを作るとコストが安く(金利負担も含めて)その分海外で売れば儲けが多くなるということになるはずなのです。足元の動きがそうなっていないということは国内でのモノ作りがうまく行っていないか、日本企業の優位性が薄れているということなのでしょう。

 逆に考えると、デフレが認定されたのですから、金利が低下する傾向にあり、為替も円安方向に振れると考えて見てもいいのかもしれません。ただ、お金の流れが滞ってしまえはそうした動きにはならず、ここはやはり、更なる「金融緩和」が望まれるということになるのかも知れません。資金が旨く回転するようになれば、2006年から2007年のように「円キャリー取引」が盛んに行われ再び「バブル」となるかもしれませんが、少なくともデフレから脱却することになるでしょう。「内需拡大」が言われていますが、ここは方針を変更して、金融緩和をし、アジアを含めた海外への輸出を奨励した方が、雇用確保にもつながり、デフレ対策にもなるのではないでしょうか。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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