大幅高の反動などから売られるも住宅価格の下げ止まり感もあって底堅い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年11月25日 08時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10433.71▼17.24

<NASDAQ>2169.18▼6.83

<為替:NY終値>88.47-88.53

大幅高の反動などから売られるも住宅価格の下げ止まり感もあって底堅い

 大幅上昇の反動に加え、GDP(国内総生産)の下方修正もあり、売り先行となりました。米連邦預金保険公社(FDIC)が経営に問題のある金融機関が6月末よりも増加したと発表したことから金融機関に対する懸念が浮上、売り一巡後の戻りの上値を押さえる要因となりました。住宅価格に下げ止まり感もあり、また、決算発表なども引き続き好調なものが多く、売り急ぐような動きはないのですが、利益確定売りがかさんで指数は軟調となりました。

 引き続き底堅い堅調な展開が続いています。日本市場とは反対に楽観的な見方が根強く、悪材料には比較的反応は鈍く、好材料にしっかりと反応するということのようです。ただ、金融機関に対する懸念が強まると、信用収縮懸念からリスクマネーの縮小が始まり、年末を控えて手仕舞いを急ぐ動きが出る可能性もありそうです。今後もクリスマス商戦の動向を見極めたいと言うことで大きな動きにはなり難いのでしょうが経済指標の発表に反応しながら景気回復を織り込む動きとなるか、金融不安が強まるのか注目されます。

 個別には前日の引け後に発表になった決算が予想を上回ったヒューレット・パッカード(HP)は利益確定売りが先行し、軟調となりましたが、同様に一株利益見通しが予想を上回ったアナログ・デバイセズは高くなりました。JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株はFDICの発表を受けて軒並み軟調となりキャタピラーやボーイング、アルコアなどといった景気敏感株も利益確定売りに押されて軟調となるものが多くなりました。原油価格は軟調となったのですが、シェブロンやエクソンモービルは業績上振れ期待もあり、堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国市場が大幅高となったことから、買い先行とはなったものの上値は重く、上値の重さが確認されると見切り売りもかさんで結局大幅下落となりました。特に売り急がなかればならないような材料があったわけでもないのですが、政策不在や増資ラッシュ、持高調整の売りにデフレ懸念、と買わない理由には事欠かず、買い気の乏しいところでちょっとした売りに押されてしまうということです。

 米国市場は軟調となりましたが、日本市場は昨日の反動もあって底堅い展開が期待出来そうです。ただ、為替が引き続き円高傾向にあることから輸出関連銘柄などの戻りは鈍くなる可能性もありそうです。一方で増資懸念から売られた銀行株や大手電機株などはいったんは目先筋の買戻しが入り底堅い堅調なものも出てくるものと思います。ただ、政策の先行きに対する懸念が根強く、腰を据えて買い上がるような動きにはなり難いものと思われ、売り方の回転も効いており、全体的には値ごろ感からの買戻しに過ぎないものと思われます。好業績ながらも地合いの悪さや持高調整の売りに押されている銘柄が散発的に反発するものと思います。

 日経平均は9500円から600円が今度は上値目処となる可能性もありそうで、いったん7月安値を窺うような場面も出てくるのかもしれません。ただ、当時と比べ業績の回復は鮮明になっており、割安感が出ているものなどから底堅さも見られるものと思われ、7月安値を大きく割り込むようなことはないと思われます。TOPIXは7月安値を割り込んで4月にもみ合いとなった水準になっており、同じ様に今度は7月安値が上値目処となってもみ合いとなるのかもしれません。

本日の注目点

◇山口日銀副総裁が講演(東京都内)

◇10月の貿易統計(財務省)

◇10月の企業向けサービス価格指数(日銀)

◇10月の米個人消費支出

◇10月の米耐久財受注

◇10月の米一戸建て住宅販売

◇決算・8−10月期:内田洋行(8057)

◇決算・7月期:独ポルシェ

◇決算・4−9月期:ロンドン証券取引所グループ

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.