年収500万円で終わらないためには、どうすればいいのか吉田典史の時事日想(3/3 ページ)

» 2009年11月20日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]
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職場の人とうまく関わる力こそ、養うべき

 では、20〜30代のビジネスパーソンは、どのようにして生きていけばいいのだろうか。

 まず、前提としておさえるべきは、ホワイトカラーが2極化される以上、ポストも減っていくということだ。

 例えば、今後は、課長が“名誉職”になっていくだろう。つまり、部長や役員になる人の数はいっそう、減る。当然、年収は頭打ちになる。年収500万〜600万円でその後は上がることなく、定年を迎えていくことになるだろう。もちろん、それをもとに退職金も決まる。「低収入人生」は、この世代の多くにとって避けられそうにもない。

 これらの待遇(ポスト)やそれにともなう収入などを考えると、非正社員とあまり変わらないととらえることもできる。私は1年半ほど前に、『非正社員から正社員になる!』(光文社)という本を書いたが、皮肉なことに今後は、「正社員から非正社員になる!」という流れになるのだろう。

 豊田さんにこのあたりを尋ねると、こう答えた。

 「ビジネスパーソンの平均値をとると、旧来の正社員のように年功的に給与が上がっていくものから、非正社員のように年齢が上昇しても給与はさほど上がらない可能性もあるでしょう」

 最後に、豊田さんが述べたことは意味が深い。20代〜30代のビジネスパーソンには、大いに考えてもらいたい。

 「これからは、プロフェッショナルな意識を持ち、仕事に臨むことがより強く求められます。そこで大切なことは、知識を身につけたり技術をマスターすることのみに注意を奪われないことでしょう。いまは、そのような風潮が強いように思います。

 それは、先ほど述べたような、“2極化したホワイトカラー”の後者になる方向にアクセルを踏んでいるようなものです。知識や技術の陳腐化のスピードは、どんどん早まっていますし、グローバル化の流れの中で、ある領域の仕事が日本から消え去ってしまうことも起きています。特定分野の高度な知識や技術を持つことが、キャリアリスクを低減させるどころか、リスクを拡大していることにつながりかねないのです。

 前者のホワイトカラーになり、高い収入を得ようとするならば、職場の上司や周囲の人とうまく関わる力こそ、養うべきでしょう。それを私は“社会性”と呼んでいます。例えば、ディスカッションやリーダーシップ、コミュニケーションなどが該当します。若い人が苦手としている分野でもあるので、これらの力を身につければ今後、活躍できる可能性が高くなると思います」

 これは私の見解だが、職場の上司や周囲の人と関わる力が弱い人は、おそらく出世することは難しいだろう。誰かがその人の前に立ちはだかり、排除していくはずだ。それが、人間社会の縮図である会社というもの。

 職場では、上司や周囲はまずは良質なコミュニケーションを求めている。技術や知識ではない。この優先順位を誤ると、あなたの会社員人生はきっと不幸なものになる。

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