なぜか不気味なほど似ている……JALを笑えないメディア界相場英雄の時事日想(2/2 ページ)

» 2009年11月19日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]
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 ここまで極端な記者は少数派だとしても、“選ばれた”という意識が強い人間が今でも多数存在するのがマスコミ界。要するに、社会の公器というポジションにあぐらをかき、自身の経営不振を棚に上げたままなのだ。JALのことを硬直的、高給だととやかく言う資格はないのでは、というのが筆者の主張だ。

翻ってマスコミ界はどうか

 「ウチの業況を取材されたとき、『オタクはどうなんだ』と聞き返したら、大手紙の若い記者がすっかり凹んでしまった」――。

 過日、中堅企業の社長と会った際、こんな話を聞かされた。筆者が改めて指摘するまでもなく、この社長が吐き出した言葉は、大手マスコミの経営不振が広く一般社会に浸透していることの証左だろう。

 本コラムの第1回目でも記したが、大手メディアの経営者の大半が記者出身で、経営センスはゼロに等しい。自身の経営が右肩下がりの局面にある中で、この中堅企業の社長が言ったように、オタクはどうなの? と言われて胸を張れる記者、あるいは経営者はいないはず。

 今後、さまざまな紆余曲折を経ても、結局JALは再建されることになるだろう。腐っても鯛、JALはれっきとしたナショナルフラッグキャリアであり、公益性が高いからだ。翻ってマスコミ界はどうか。電波など各種の免許で守られているのは確かだが、1社や2社、その数が減っても困る人間はJALよりも少ないのは明白だ。JALへの批判を強めるのは仕事として当たり前だが、その前に自身の経営不振に目を向けるタイミングでもある。

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