「なぜ同じような雑誌が、次々に出てくるのだろう?」――。このような疑問を感じたことがある人もいるのでは。例えば総合週刊誌でいうと『週刊現代』と『週刊ポスト』、『週刊新潮』と『週刊文春』。このほか経済誌でいえば『週刊東洋経済』と『週刊ダイヤモンド』など、多くのジャンルでよく似た雑誌が存在している。
出版界で起きているこうした現象について、元『週刊現代』編集長の元木昌彦氏が、総合週刊誌の歴史を振り返りながら語った。
→なぜ総合週刊誌は凋落したのか? 出版社を取り巻く3つの課題 (前編)
元木: 『週刊新潮』『週刊文春』『週刊現代』の3誌は創刊してから半世紀以上が経過した。『週刊新潮』が創刊されたのは昭和31年(1956年)。当時、ジャーナリズム系の週刊誌を出版社が出すということは“英断”だったと思う。そのころの『週刊朝日』の部数は150万部、『サンデー毎日』もいいときで150万部あった。
特に新聞社系の週刊誌が売れていたが、そこに出版社系が“殴りこみ”をかけた形だ。当時「出版社系の週刊誌は絶対に成功しない」といわれていた。なぜなら出版社なので、取材記者の数が圧倒的に少なかったから。
私が『週刊現代』の編集長(1992〜1997年)をしていたときで、記者の数は40人くらい。また出版社は新聞社と違って情報があまり入ってこない。新聞社は2000〜3000人くらいの記者を抱えており、彼らが世界中から情報を持ち寄る――。新聞社は多くの情報の中から厳選し、紙面に記事を掲載している。しかし出版社は違う。出版社自らが取材するにしても、時間的にも人数的にも余裕がない。かといって新聞と同じことを掲載しても、誰も読んでくれない。どういう切り口で、記事を掲載すればいいのか。どのようなカラーを出せばいいのか。出版社が週刊誌を創刊したときは、独自のカラーを出すのに苦労したのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング