なぜ同じような雑誌が出てくるのか? 柳の下にドジョウが3匹の不思議どうなる? 紙メディア(1/4 ページ)

» 2009年11月04日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「なぜ同じような雑誌が、次々に出てくるのだろう?」――。このような疑問を感じたことがある人もいるのでは。例えば総合週刊誌でいうと『週刊現代』と『週刊ポスト』、『週刊新潮』と『週刊文春』。このほか経済誌でいえば『週刊東洋経済』と『週刊ダイヤモンド』など、多くのジャンルでよく似た雑誌が存在している。

 出版界で起きているこうした現象について、元『週刊現代』編集長の元木昌彦氏が、総合週刊誌の歴史を振り返りながら語った。

 →なぜ総合週刊誌は凋落したのか? 出版社を取り巻く3つの課題 (前編)

 →週刊誌の編集部で、こんな取材をしてきた(後編)

※本記事は日本ジャーナリスト会議主催の集会(10月16日)にて、元木氏が語ったことをまとめたものです。

独自のカラーを出すのに苦労した

元木昌彦氏

元木: 『週刊新潮』『週刊文春』『週刊現代』の3誌は創刊してから半世紀以上が経過した。『週刊新潮』が創刊されたのは昭和31年(1956年)。当時、ジャーナリズム系の週刊誌を出版社が出すということは“英断”だったと思う。そのころの『週刊朝日』の部数は150万部、『サンデー毎日』もいいときで150万部あった。

 特に新聞社系の週刊誌が売れていたが、そこに出版社系が“殴りこみ”をかけた形だ。当時「出版社系の週刊誌は絶対に成功しない」といわれていた。なぜなら出版社なので、取材記者の数が圧倒的に少なかったから。

 私が『週刊現代』の編集長(1992〜1997年)をしていたときで、記者の数は40人くらい。また出版社は新聞社と違って情報があまり入ってこない。新聞社は2000〜3000人くらいの記者を抱えており、彼らが世界中から情報を持ち寄る――。新聞社は多くの情報の中から厳選し、紙面に記事を掲載している。しかし出版社は違う。出版社自らが取材するにしても、時間的にも人数的にも余裕がない。かといって新聞と同じことを掲載しても、誰も読んでくれない。どういう切り口で、記事を掲載すればいいのか。どのようなカラーを出せばいいのか。出版社が週刊誌を創刊したときは、独自のカラーを出すのに苦労したのではないだろうか。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.