なぜ同じような雑誌が出てくるのか? 柳の下にドジョウが3匹の不思議どうなる? 紙メディア(3/4 ページ)

» 2009年11月04日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
『サンデー毎日』(11月1日号)

 『週刊現代』はグラビアのほかにも、政治、経済、芸能、風俗の紹介など、1冊ですべての情報が詰まっているという“幕の内弁当スタイル”だ。こうした編集方針は昭和34年(1959年)という時代に関係していた。まだ世の中は貧しい時代で、サラリーマンは週刊誌を何冊も買って読むことはできない。1冊だけ買って読もう、というときに『週刊現代』を手にした人が多かったのではないだろうか。『週刊現代』にはたくさんの情報が掲載されていたこともあり、読者も増えていった。

 そして牧野武朗編集長のときに、「『週刊現代』をサラリーマン雑誌にしよう」という方針を掲げた。まずは「色・金・出世」――これに関する記事を取り上げていった。色とは女性と遊ぶことができる情報、金とはサラリーマンの副業情報、そして出世に関する情報。サラリーマンは色・金・出世に関心があるということで、この分野に特化して紙面を作っていった。

 やがて『週刊現代』は、『週刊文春』や『週刊新潮』の部数を超えた。もちろん『週刊文春』と『週刊新潮』の部数も悪くはなかったが、その一方で『週刊朝日』と『サンデー毎日』は部数をあっという間に落としていった。昭和34年を境にして、出版社系の週刊誌が新聞社系を凌駕(りょうが)してしまったのだ。その後50年以上、出版社系の週刊誌が、新聞社系を上回っているのだ。

他誌からのスタッフを引き抜き

『週刊ポスト』(11月6日号)

 『週刊ポスト』の1年間の平均部数は、一番いいときで100万部近くあった。『週刊ポスト』というのは『週刊現代』よりも10年遅れで創刊。両誌は月曜日発売ということもあるが、非常によく似ている。実は創刊当時、表紙のカメラマンも同じ人だった。そして同じ女優が、同じ発売日に登場することすらあった。

 なぜこのような現象が起きたかというと、小学館が『週刊ポスト』を創刊するときに、『週刊現代』の前編集長とスタッフを引き抜いて、雑誌を作ったからだ。

 実は雑誌というのは、モノマネをした方が良い雑誌に仕上がるという傾向がある(笑)。例えば『週刊現代』を真似た『週刊ポスト』は、ずっと(『週刊現代』の)部数を上回った。このほかマガジンハウスの『an・an(アン・アン)』を真似て、集英社は『non-no(ノンノ)』(集英社)を創刊した。an・anの部数は30万部ほどで苦しんでいたが、non-noは100万部を超えた。同じくマガジンハウスに『POPEYE(ポパイ)』という雑誌があったが、これと同じコンセプトで講談社は『Hot-Dog PRESS(ホットドッグ・プレス)』を創刊。その後、この両誌は休刊したが、やはりHot-Dog PRESSの部数がPOPEYEを上回っていた。また『平凡パンチ』(マガジンハウス)を真似、集英社は『週刊プレイボーイ』を出し、やはりこれも『週刊プレイボーイ』の方が部数が多かった。

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