米国株高や円安、業績回復など好材料に反応し切れず上値が重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年10月23日 15時55分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が大幅高となっても業績の回復を示す様な発表が相次いでも、買い気は盛り上がりません。これまで買われていなかったような銘柄や売り込まれていたような銘柄が業績改善を示す決算を発表するとさすがに反応するのですが、好調と言われていた企業が更に上方修正となった場合などは逆に材料出尽くし、利益確定売りに押されて軟調となるものも多く見られました。先行きに対する懸念が根強く、足元の業績だけでは安心できないということなのでしょう。

 業績の改善を示す決算を発表する企業が引き続き多く見られます。終わった4−9月期だけではなく通期ベースの業績を上方修正する企業も見られ、景気が回復過程にあることが分かります。景気の底入れを確認し、後は景気の回復度合いを測るようなところなのですが、「これまで」の回復度合いは分かっても、「これから」の回復が読みきれないということで、株価の上昇が鈍いものと思います。

 景気回復の途上であり、さらなる景気の悪化ということが考え難いのであれば米国のように方向は決まっている可能性が高いのですから、その方向に向かって進んでも良いのではないかと思います。景気が更に悪化し、例えば日経平均が再び7000円に戻ることは現状では考え難く、どんどん企業が破綻するような状況でもないのですから、多少の押し目を覚悟すれば、決して買えない水準ではないのではないかと思います。

 短期に売買をする向きが多くなり、また、情報もこれだけ多くなって来ると株を買うのに「もっと安いところで」買おうというようなことが多く、結局我慢しきれずに買い付くとそこが高値になってしまうなどということも多いのではないかと思います。民主党の政策がはっきりしないことで先が見えないことは確かなのですが、大き流れとしては民主党でも自民党でも景気が回復していることには違いなく、後は回復の度合いの違いだけなのです。ですから、いつもこのコラムでも述べていますが、大きな流れに乗るということであれば、目先の株価の振れにある程度目をつぶって業績が回復している企業に投資をしてもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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