ひょっとして……“バブル組”に苦しめられていませんか?(1/3 ページ)

» 2009年10月02日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。


 先日、JR東京駅からタクシーに乗った。そのとき、運転手と話したことは考えさせられるものだった。ここ数年、後部座席に座る、管理職と思われる30代後半から40代の男性社員の態度が横柄だという。部下を人前でありながら平気で叱りつけたりするなど、管理職としてのマナーを心得ていない人が多いそうだ。

 実は、これに近い話を人事コンサルタントたちからもよく聞く。彼らの話の趣旨は、次のようなものだ。いまの管理職層の多くは、1980年代半ばから1990年前後までのバブル時代に就職している。当時は、中堅の私立大学の卒業者でも、難関と言われた都市銀行に毎年数十人は入社していた。都市銀行13行に計400〜500人前後が就職するなど、相当に甘い時代だったのだ。

 さらに、この世代は、90年代に20代〜30代後半までの期間を過ごしている。この時期、多くの企業は深刻な不況のもと、社員研修などの教育費を大幅に削った。いまの40代は他の世代に比べ、あまり社員教育を受けていない。

 そんな人たちが、いま、管理職をしているがゆえに、職場では次々と問題が起きているのではないかというのだ。

 実際、ある金融機関の人事部では、「花の90年組」という言葉が使われている。1990年に入行した社員のレベルが他の年次の社員に比べて、低いからだ。それを皮肉って「花の90年組」という。90年入社の社員が就職活動をしていたのは、1989年の春から夏にかけてのこと。つまり、バブル期のピークなのである。

 前述のコンサルタントはこう言う。

 「この時代に極端ともいえる大量採用で、常識的には入ることが不可能な人たちが一気に一流企業に入社した。20年後にその採用戦略のあおりを受けて苦しんでいるのが、20代〜30代前半の若手。実は、この世代の方が潜在能力は高い」

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