経済指標の好転が材料視されず、持高調整の売りに押される清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年09月01日 08時47分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9496.28▼47.92

<NASDAQ>2009.06▼19.71

<為替:NY終値>93.1-93.16

経済指標の好転が材料視されず、持高調整の売りに押される

 月末の持高調整や目先的な過熱感からの利益確定売りが先行、軟調な展開となりました。原油価格の下落などリスクマネーを絞る動きも見られ、売り急ぐ場面もありました。それでも8月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)は市場予想を上回り3カ月連続で上昇と景気回復を期待させるものとなりましたが、市場での反応は鈍く、下げ幅を縮小するに止まりました。大型買収の話題などにも反応は鈍く、世界的なリスクマネーの手仕舞いの動きのなかで軟調となりました。それでも、底割れ懸念は少なく値ごろ感の買いも入り、最後は下げ幅を縮小して終わりました。

 経済指標への反応が鈍く、原油価格などの商品市況や世界的な株価の下落を見ると、持高調整の動きが世界的に行われたものと思われます。ただ、実際に金利の上昇やリスク許容度を大きく低下させるような材料もなく一過性の持高調整の動きかもしれません。今週は主要な経済指標の発表を控えており、その前に持ち高を整理する動きもあったのかもしれません。雇用や個人消費に回復を確信させるものが見えてこないと上値を買い上がり難いということなのでしょう。

 個別には商品市況の下落や手仕舞いの動きからシェブロン、エクソンモービルといった石油株はもちろん、アルコアやボーイング、キャタピラーといった資源株や景気敏感銘柄が大きく下落、指数を下押す要因となりました。引き続き業績回復が期待され、投資判断の引き上げもあってインテルは高く、金融株はJPモルガンチェースは高くバンクオブアメリカは安いなどまちまちとなりました。マーベル・エンターテインメントを買収すると発表したウォルト・ディズニーが財務負担への懸念などから下落、BJサービシズを買収するとしたベーカーヒューズも大幅下落となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は選挙が終わったことや週末の米国市場が底堅かったことなどから買い先行で始まりました。ハイテク銘柄などが買われ、一時年初来高値更新となったものの、円高を嫌気する動きや利益確定売りに押されて上げ幅を縮小すると一気に軟調となりました。中国株の動きを気にする向きも多く、後場になって一段安となる場面もあったのですが、10400円を意識するところでは買戻しなども入り下げ幅を縮小して引けました。

 中国株を気にしすぎているうちに米国市場も軟調となり、本日の日本市場は上値の重い展開となりそうです。ただ、昨日の下落である程度本日の米国株の下落は織り込まれているものと思われ、引き続き底堅さは見られるものと思います。新政権への期待もまだ強いものと思われ、また為替も円高ながらも少し落ち着いてきたので売り急ぐような動きは限定的となりそうです。中国関連銘柄や輸出関連銘柄などは利益確定売りや戻り売りに上値を押さえられそうですが、出遅れ感がある内需関連銘柄や新政権がらみの材料株などが物色されるのではないかと思います。

 10500円水準を何とか保ったことで底堅さが見られます。下値の節目としては10400円や10100円台半ばから10200円台半ばまでの水準が考えられ、当面はこの水準を割り込むことはなさそうです。10500円を超えると売られ、10500円を割り込むと買われるというようなことではないかと思います。形としては「波大き足」という波乱含み、いったん高値をつけたような形ですが、まだ10000円台前半でのもみ合いが続いているということなのでしょう。

本日の注目点

◇8月の国内新車販売台数(自販連)

◇2−7月期決算:積水ハウス(1928)、ピジョン(7956)

◇8月の米新車販売

◇8月の米ISM製造業景況感指数

◇7月のユーロ圏失業率

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