マックの朝コーヒーがなんと0円! 無料で配るその真意とは?(1/2 ページ)

» 2009年07月22日 07時00分 公開
[安部徹也,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:安部徹也(あべ・てつや)

株式会社 MBA Solution 代表取締役

九州大学卒業後、三井住友銀行に入行。銀行にて一部上場企業などの金融を担当。退職後、ビジネススクール ThunderbirdにてMBA取得。卒業後、MBA Solutionを設立し代表に就任。現在は2万人以上のメンバーが参加する「ビジネスパーソン最強化プロジェクト」を主宰する傍ら、テレビやラジオ、新聞などへの出演や大手インターネットサイトでの記事連載、ビジネス書の執筆など多方面で活躍する。


プレミアムローストコーヒー

 ロッテリアの“絶妙バーガー返金保証”に続いて、ファストフード業界からまたまた驚くべきニュースが飛び込んできた。ファストフード業界のガリバーであるマクドナルドが7月24日から1週間、プレミアムローストコーヒーのSサイズを朝の8時から9時の間、1人1杯限定ではあるが、なんと無料で提供するとの発表を行ったのだ。(関東地域のみ)

 マクドナルドのプレミアムローストコーヒーといえば2008年のオリコンの調査で「買いたいコーヒーNo.1」に輝いたこともあり、話題を呼ぶことは間違いない。ただ、なぜマクドナルドはコーヒーを無料で提供するのだろうか?今回はその真意をマーケティングの視点から考えていくことにしよう。

 まず、1点目として考えられるのはお客様に来店していただく「フック」としての役割だ。売り上げというのはお客様に来店していただかなければ、いくら素晴らしい製品やサービスをそろえていても上がらない。そこで企業は、お客様に来店していただくのに多大なコストをかけてさまざまな方法を試みる。

 例えば、家電量販店などは来店するだけで現金と同じように使えるポイントを進呈しているし、個人向けの金融機関や住宅販売業者などでは来店するだけで500円から数千円の商品券を提供しているところもある。

 それを考えると原価にして1杯数十円のコーヒーでは比較的低いコストで集客が見込める。例えば、120円という価格の10%をコーヒーの原価だと仮定するとマクドナルドでは100万杯の提供を見込んでいることから延べ100万人の集客で1200万円のコスト負担ということになる。多くのマスメディアに取り上げられる広告効果と100万人の集客効果を考えれば、その金額がいかに安いかは疑う余地もないだろう。

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