景気指標の好転や値ごろ感からの買いで、まちまちの展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年07月07日 08時31分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8324.87△44.13

<NASDAQ>1787.40▼9.12

<為替:NY終値>95.34-95.4

景気回復に対する懸念は根強いが景気指標の好転や値ごろ感からの買いでまちまちの展開

 寄り付き前から欧州市場が軟調となったことや原油価格が大きく下落、信用収縮懸念が強まっていたことから、3連休前の買戻しなどでしっかりとした始まりの後は軟調となる場面もありました。ISM非製造業景況感指数が前月に比べ改善、予想も上回ったことから、買戻しや値ごろ感からの買いも入り底堅さは見られたのですが戻りも鈍く、ダウ平均はディフェンシブ銘柄の買いで堅調となったものの、ナスダック指数はハイテク銘柄が下落したことで軟調となりました。原油を筆頭に商品市況が軟調となりリスク許容度の低下から、買い手控えられ目先筋の換金売りも出ているようです。

 雇用不安から景気回復の遅れが取りざたされていますが、信用収縮に対する懸念が強まっており、換金売りが商品などから出ているようです。根底には景気回復の鈍さから商品などの先高期待がはげたという面もあるのかもしれませんが、投機的資金の引き上げから安全資産に資金の流れが移るとすれば、株式市場も商品市場も調整が長引いてしまいそうです。 決算発表が始まるところで、景気の先行きに明るさが見えるかどうかがこれからの資金の流れに影響があるものと思われます。一つ、二つ好調な決算が見られ、景気回復の兆しが見えるまでは上値の重い展開が続くのでしょう。

 個別には「質への逃避」ということからプロクターアンドギャンブルやメルクなどディフェンシブ銘柄が買われ、ダウ平均を押し上げましたが、一方でアルコアなど素材株やシェブロン、エクソンモービルといった石油株などは市況の悪化を嫌気して売られ、インテルなどハイテク銘柄も景気回復の遅れを懸念して売りがかさみました。投資判断の引き上げが伝えられたアメリカンエクスプレスやKLAエンコール(半導体製造装置)、ノードストローム(百貨店)も堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の米国市場が休場となり米国市場の影響は少ないと思われたのですが、景気回復の鈍さを嫌気するように持高調整と見られる売りがかさみ大幅下落となりました。欧州市場でも信用収縮懸念は薄れたと思われたのですが、寄り付きから売りがかさんだことで目先筋の売りも加速されたものと思われます。新興市場銘柄はインターネット関連銘柄や携帯電話関連銘柄が堅調であり、個人投資家の買い方の回転は効いているようです。

 米国市場はまちまちとなり、景気指標も改善していたことから底堅い堅調な展開が期待されます。引き続きアジア市場でも信用収縮の動きから換金売りが続く可能性もありますが、値ごろ感からの反発もあるものと思います。 為替も円高とは言え比較的底堅さも見られ、米国市場同様にディフェンシブ銘柄から戻るのではないでしょうか。景気回復の遅れも気になりますが、足元の景気は底入れと見ても良く、少なくとも「最悪期は脱した」ことから後は業績の回復度合いを測ることになるものと思います。主力大型銘柄は信用収縮懸念から上値も重いのかもしれませんが、出遅れ感が強いディフェンシブ銘柄の一角や値動きの良い小型銘柄を物色する動きは続くものと思われ、輸出関連銘柄などのリバウンドがどこまであるのかが注目されます。

 日経平均は9700円から800円水準での底堅さも見られるのですが、少なくとも9500円水準まで下落の懸念が残るため値ごろ感からの買いも入り難いのかもしれません。ただ、主力銘柄への持高調整の売りが出る中で底堅いともいえるのではないかと思います。この動きから見ると9500円水準までむきになって売り込むというよりは10000円に近いところで売る、と言うような雰囲気にも見え、引き続き9500円から10000円の範囲内での動き、その中で9700円から800円と言う水準での底堅さを確認しているところということなのでしょう。

本日の注目点

◇EU財務相理事会(ブリュッセル)

◇決算・3−5月期:イオン(8267)、吉野家HD(9861)、ミニストップ(9946)

◇決算・9−5月期:サイゼリヤ(7581)

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