毎年数千店が新規出店、コンビニ開店の裏側は(2/2 ページ)

» 2009年06月25日 07時00分 公開
[笠井清志,INSIGHT NOW!]
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最初の店舗レイアウトが今後の店舗の明暗を分ける

 次に、店舗建物が完成し、店舗内に什器(じゅうき)や棚が搬入されると、店舗レイアウトを決めて、商品発注作業を始めます。店舗内のどこにどんな商品を陳列するのかを決め、必要な商品を発注します。

 店舗近隣商圏に必要とされる商品を見極め、適した場所に陳列していくのですが、この作業で店長や本部社員の技量が分かります。特に新店の場合、最初の店舗レイアウトが今後の店舗の明暗を分けるので非常に重要です。私が新規店舗に携わる場合も、特にここを重視します。

 このほか、商品発注作業と平行して、店舗従業員の募集採用活動を行います。どの店舗でも新店のアルバイトは非常に人気があるので、面接にもかなりの時間がかかります。ここでは、適正なシフト・人員配置を目指して採用活動をしていきます。新規採用した従業員は開店前にトレーニングをします。オープン前のレジを使ってレジの接客トレーニングを中心に行います。

 また、この時期に防犯カメラの設置作業も行います。商品レイアウトが決定し、店内の死角や高額商品の陳列場所を把握した段階で、重点的に撮影したい場所が映るように防犯カメラの設置・調整をします。

 オープン1週間前にもなると、発注した商品が続々と納品されてきます。この納品された商品を新規従業員と一緒になって陳列していきます。この時に、店長は商品陳列のコツなどを従業員に伝授していきます。

 いよいよオープン3日前になると、新規オープンセールの告知のため、近隣800メートル内の商圏に対してチラシを配布します。最近ではポスティング作業だけでなく、一軒一軒インターホンを押してチラシを手渡しする店もあります。ちなみにこのチラシにはセール告知とともに、サービス品の引換券もつけます。このため、オープニングセールの集客にも役立つのです。

 そして、いよいよ待ちに待った開店です。「いったいどのような人が来店するのか」「採用した従業員は元気良くあいさつし、接客でミスをしないだろうか」、いろいろな気持ちを抱えながら、開店時間を迎えます。

 新しくできるコンビニ、消えていくコンビニ。競争が激しいコンビニ業界では、このような様子が全国の至るところで毎日行われているのです。(笠井清志)

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