景気回復期待は強いものの調整が続く清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年06月10日 08時29分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8763.06▼1.43

<NASDAQ>1860.13△17.73

<為替:NY終値>97.33-97.39

景気回復期待は強いものの調整が続く

 金融機関の公的資金返済を認めるとの報道や前日に売られた国債が買い戻され(金利が低下)、原油価格など商品市況も反発、ハイテク銘柄の好調な決算見通しを好感して堅調となる場面もあったのですが、目先的な過熱感や高値警戒感から利益確定売りや買い戻し一巡となったことで、上値も重く、ナスダック指数は堅調となったのですが、ダウ平均は小幅安となりました。引き続き、景気底入れと見られるものの回復というところまではいかないという感じで、上値を買い切れないということのようです。

 原油価格など商品市況の上昇も景気底入れは確認できでも回復が確認できないことから、スタグフレーション懸念へと結びついてしまうようです。金利上昇懸念はいったん薄れはしたものの、今後も景気回復が取りざたされるたびに金利上昇が懸念されることになりそうです。大手自動車会社の破綻後の処理も混乱しているなどといわれており、かなりセンチメントは好転しているものの積極的に買い上がる雰囲気にはならないということのようです。景気回復の兆しがもう少し出てくれば利益確定売り一巡感から上値追いとなって来るのでしょう。

 個別には前日引け後に業績見通しを引き上げたTI(テキサスインスツルメンツ)が大幅高、連れてシスコシステムズなどハイテク銘柄の一角は堅調となりました。原油価格など商品市況が上昇したことでアルコアなど素材関連銘柄の一角は堅調となりましたが、エクソンモービルは軟調、シェブロンは堅調というように石油関連銘柄、金鉱株などは利益確定売りも多くまちまちとなっています。公的資金の返済が取りざたされた金融株もJPモルガンチェースやUSバンコープが下落、ゴールドマンサックスやアメリカンエクスプレスが高いなどこちらもまちまちとなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の相場は過熱感が強かったことや円高に振れたことなどから利益確定売りや見切り売りがかさみ軟調となりました。一時大幅安となる場面もあったのですが、景気底入れ感も強いことから売り叩き難く、買戻しも入ったものと思われます。外国人が売り越し基調と伝えられるなど目先的な過熱感は否めないのですが、逆に底堅さも見られ、軟調ながらも強含みの推移となっています。

 本日の日本市場は引き続き日柄整理となりそうです。過熱感が依然として強いことから利益確定売りなどもかさむものと思われますが、機械受注統計の発表が上ブレとなるようであれば、いったん上値追いとなるのでしょうし、予想を下回るようであれば利益確定売りや見切り売りを急ぐことになりそうです。景気底入れ確認と見られるものの、買い一巡感もあり、「次」の展開を控えて動き難いところで、機械受注が好調となれば、再び買い直す動きになれるものと思います。米ドルが下落(円高)したことでの輸出株などへの影響も気になりますが、まだ1ドル=95円という水準を上回っており、影響も限定されるのではないかと思います。

 日経平均が10000円をつけるのかどうかが話題になっていますが、本日の機械受注、明日のGDP(国内総生産)改定値や週末の鉱工業生産指数の発表やSQ(特別清算指数)算出など経済指標の発表やイベントを控えて、その発表数字に振らされることになりそうです。これらの数字が予想を上回るようなことであればSQなどをきっかけに10000円を抜けて来る可能性がありそうで、逆に予想を下回るようであれば、下値の節目と見られる9500円を試すことになるのでしょう。10000円を抜ければ抜けたで達成感が、抜けなければ抜けないで失望感が出て、いったんは調整となるのかもしれません。

本日の注目点

◇5月の企業物価指数(日銀)

◇5月のビール系飲料出荷量(大手5社)

◇4月の機械受注統計(内閣府)

◇米地区連銀経済報告(ベージュブック)

◇5月の米財政収支

◇5月の中国消費者物価指数と卸売物価指数

◇4月の米貿易収支

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.