ハワイ伝統の秘法「ホ・オポノポノ」は幸せを呼ぶか?――イハレアカラ・ヒューレン博士嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(1/4 ページ)

» 2009年06月06日 07時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」とは?:

 「こんなことをやりたい!」――夢を実現するために、会社という組織の中で目標に向かって邁進する人がいる。会社の中にいるから、1人ではできないことが可能になることもあるが、しかし組織の中だからこそ難しい面もある。

 本連載では、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏が、仕事を通して夢を実現するビジネスパーソンをインタビュー。どのようなコンセプトで、どうやって夢を形にしたのか。また個人の働きが、組織のなかでどう生かされたのかについて、徹底的なインタビューを通して浮き彫りにしていく。


 現代のようなストレスの強い時代に生きていると、仕事であれ、プライベートであれ、人はさまざまな悩みを抱えがちだ。「何で自分だけこんな目にあわないといけないのか、理不尽じゃないか」――そうした思いが蓄積していくと、「自分には何か特別な原因があって、こういう境遇に陥るのではないか?」とその原因を探り、脱出法を模索するようになるもの。

 米国発の成功法則のプログラムをセミナーで受講する人もいるだろうし、在家信者として仏道修行に入る人もいるだろう。あるいは新興宗教における「奇跡」の実現に期待をかける人もいるだろうし、霊能者による浄霊、占い師や風水師からのアドバイスによって現状打破を目指す人もいるだろう。

 筆者自身もこれまでの長い人生で上記のほとんどを体験しているが、明確に言えることは、どんなことであれ、それにピタッとはまった人には劇的な効果をもたらすものの、そうでない大多数の人々にとっては、経済的にも時間的、精神的にも徒労に終わる場合が多いということだ。

 しかも科学的手法をうたったものでも、その効果や実績に関して、それを裏付けるデータが公開されることはほとんどない。いずれの場合も、その恩恵に浴した人々の「感謝の声」という形でしか表現されないものだ。そしてその感謝の声も“一時的な良い兆し”に感激したようなものが多く、中長期的に見た場合、本当にその人を幸せにしたのかどうかは分からない。

 そんな中、統計的・臨床的に実績を残し、比較的「裏付けのある成功法則」と呼べそうなものが登場した。それが、今回ご紹介する米国のイハレアカラ・ヒューレン博士(Ihaleakala Hew Len、Ph.D.)による「ホ・オポノポノ(Ho'oponopono)」という手法である。

 果たしてその裏付けとはどんなものなのか。そして、それは筆者のような人間にも有効なものなのか。筆者は2008年秋にホ・オポノポノに出会い実際に実践してみた。ゴールデンウィークに来日したヒューレン博士に対して行ったインタビューに、筆者自身の実践の結果も交えてホ・オポノポノを紹介しよう。

ハワイ伝統の癒やしの秘法「ホ・オポノポノ」の伝道師

イハレアカラ・ヒューレン博士

 ヒューレン博士は、1962年にコロラド大学を卒業後、ユタ大学を経て、1973年にアイオワ大学で博士号を取得。医大の学長なども経験した、いわばアカデミズムの世界で生きてきた人物である。

 そんな彼が、ハワイ古来の伝統の秘法「ホ・オポノポノ」(より正確には、故モナ・ナラマク・シメオナ女史が発展させた「セルフアイデンティティ・ホ・オポノポノ」)と出会い、当時勤務していた、殺人・強姦などの重罪を犯した精神障害者収容施設(ハワイの州立病院)で実践したところ、著しい効果をあげたという(1983〜1987年)。それ以来、彼は米国はもとより世界各国で、ホ・オポノポノの普及に人生を捧げているのである。

 上記のハワイの州立病院のケースについて補足すると、ホ・オポノポノの実践によって、それまで7年だった平均収容期間が4〜5カ月に短縮できただけでなく、最終的にその施設の収容者はゼロになったという。収容者1人あたりの経費が年間5万ドルかかっていたので、コスト削減効果という点から見ても、素晴らしいものがあったようだ。

 そしてこれと並んで重要なのが、ハワイ大学での臨床データだ。同大学で高血圧患者を2つのグループに分け、片方のグループを、ヒューレン博士のホ・オポノポノ半日コースに参加させたところ、このグループの患者だけ血圧の改善が認められたというのである。

 実験を担当したハワイ大学のキキパ・クレツァー博士(Kikipa Kretzer、Ph.D.)の論文によると、ホ・オポノポノ受講2カ月後の測定値は、最高血圧で平均11.86mmHg低い数値を示し、最低血圧でも平均5.44mmHg低い数値だったという。クレツァー博士は、次のように結論づけている。

 「ホ・オポノポノには統計的にも臨床的にも平均血圧を顕著に低下させる効果が認められた。また生活の中に簡単に取り入れやすく、低コストで内容を理解しやすく、肉体的、社会的なリスクを伴わない。高血圧症、高血圧前症患者の血圧安定に効果があると同時に、実践する人にいっそうの安らぎを与えることができる。高血圧症に対する効果が期待されるだけでなく、ほかの健康状態にも有益な効果をもたらす可能性がある」(『豊かに成功するホ・オポノポノ』139〜141ページより。河合政実、ソフトバンク クリエイティブ)

 精神障害を持つ重大犯罪者と高血圧患者、双方に対して明確な効果をあげたことは疑う余地がない。このように一定の効果が期待できるホ・オポノポノであるが、では、人生の成功法則として、一般の人々の人生を好転させることもできるのだろうか? その点こそが、我々にとっての最大の関心ごとだろう。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.