ハワイ伝統の秘法「ホ・オポノポノ」は幸せを呼ぶか?――イハレアカラ・ヒューレン博士嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(2/4 ページ)

» 2009年06月06日 07時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

人々に「自由」を与えるホ・オポノポノ。実践法は簡単!?

 我々は大人になり、社会生活を営む中で、実に多くの「常識」や「分別」、各種の知識、情報を身に付けていく。そしていつしか、それらを駆使して日常生活を送ることに慣れ、それらを組み合わせてモノを考えたり、行動したりすることが、社会人としての主体的な生き方だと思っている。

 しかし、そうした生き方は、自分という人間の本来あるべき生き方とイコールなのだろうか。自分の魂は本当にそのように叫び、そうした人生や行動スタイルを切望しているのだろうか。ただ単に自分の心や頭にまとわりついた世間の常識や分別や各種情報が、そうさせているだけなのではないだろうか。そんなものに振り回されていて、自分らしい人生は歩めるのだろうか。

 長く生きている中で、ふと思うことがあるこうした疑問。ホ・オポノポノとは、そうした現代人の心や頭にこびりついた常識、分別、知識などの各種「情報」から解放されて、人間が「自由」を手にし、自分本来の人生を取り戻すための方法なのである。

 そして、それは実に簡単に実現できると説く。

 例えば、仕事であれプライベートであれ、何か不愉快な出来事に遭遇すると、我々は「あの野郎、ふざけやがって!」などと他人に責任を転嫁して、怒りの感情に打ち震えるものである。

 しかし、ホ・オポノポノでは、「自分の潜在意識の中のどの情報が原因となって、彼は私にあのような言動をしたのだろうか?」と自らの心に問いかけ、そしてこの「不愉快な出来事」という「情報」に対して、「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」という4つの言葉をかけることで、この「情報」を消去するのである。それはあたかもPCのDeleteキーを押すのと同じで、いちいち心を込める必要もなければ、何回何十回も繰り返す必要もない。ホ・オポノポノが教える手法には付帯的なテクニックも多少あるものの、実質的にはこれに始まり、これに終わると言ってよい、実にシンプルなものだ。

ホ・オポノポノの基本的な考え方

 ホ・オポノポノではこうした行為を「クリーニング」と呼び、これを通じて自分の心をプラスマイナスゼロのフラットな状態にすることが可能になるのだという。そして大切なことは、こうしたクリーニングは不快で不幸な「情報」に対してだけでなく、将来への「夢」「憧れ」、あるいは感動的な出来事といったハッピーな「情報」に対しても適用され、これらも「消去」していく必要があるという。

 要するに、昔から仏教で説いている「執着のない」心を実現しなさい、ということなのである。「アイツのせいで自分はこうなった、絶対許せない」……などといった感情は、結局、個々の人間の「顕在意識」の中にある「情報」を再生させているだけのこと。しかし、人間には、そうした顕在意識層とは比較にならない情報量(ヒューレン博士によれば1100万倍)を有する「潜在意識」層がある。

 人類の誕生以降、数千年の間に、人間は数十億人を数えるまでになった。現代を生きる我々は、誰しもが、そうした人類の歴史(記憶)を、自らのDNAの中に刻印しているのであり、そういう意味では、世界の人類がほぼ同じ記憶を有しているとすら言える。そしてそれは、個々の人間が明示的に自覚することもなく、1人1人の潜在意識層にひっそり存在している。

 多くの人間を巻き込む集団的な災厄であれ、個々の人間の幸不幸であれ、それは結局、人類の誕生にまで繋がる、そうした「潜在意識」層に存在する過去の「記憶」(情報)の再生なのだ、というのがホ・オポノポノの基本的な考え方なのである。だからこそ、「自分自身に起きた出来事は良いことも悪いこともすべて自分の「潜在意識」の中の「情報」が引き起こした」と考えなければいけないということになる。

 それゆえ、そうした記憶(情報)を消去し、クリーニングするに当たっては、既に述べたように、「自分の潜在意識の中のどの情報が原因となって……になったのだろうか?」と心に問いかけた上で、その情報に対して「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」という言葉をかけることが重要になるのである。

 ここで注意しなければいけないことがある。それは、「自分の潜在意識層の中の情報に原因がある」と思うことは、自責の念に駆られることとはまったく異質だという点だ。何か不幸な出来事が発生した際に、「自分の能力が足りなかったから……」「自分に魅力がないから……」などと自分自身を責め、人生を諦めてしまう姿勢は一見潔いが、「アイツのせいでこうなった」という他罰的姿勢と結局は同じことで、自分の「顕在意識」の中のわずかばかりの記憶を再生させて物事の決着を図っているのに過ぎない。

ホ・オポノポノで一体何が実現するのか?

 こうした「クリーニング」によって何がもたらされるのだろうか?

 「それは“インスピレーション”(ホ・オポノポノでは「霊力」と呼ぶ)である」とヒューレン博士は断言する。いわゆる「直観」はこのインスピレーションとは全く異なるという。というのも、「直観」は過去の記憶の中にある情報を組み替えて再生しているに過ぎないからであり、それに対してインスピレーションは過去の記憶とは無関係な、あたかも光が降り注ぐかのように、「自然」に「努力なく」立ち現れるまったく新しいものだからだ。自分自身の生き方が宇宙の流れと同期したときにインスピレーションは降り注ぎ、自分にとって最もふさわしい「本来あるべき」力を発揮できるようになるのだという。

 このプロセスこそが、自分を取り巻く困難な諸問題を解決に導くとともに、人生に光明を与えてくれるのである。誰もが願うであろう、そうした人生。それゆえに我々は、日々の生活の中で「クリーニング」を通じて、過去の記憶(情報)の消去に励まなければいけないのだ。

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