経済指標の好転にも関わらず、最後は“お化粧買い”清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2009年05月29日 15時49分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 9522.50円 △ 71.11円
売買高 26億0613万株
日経平均先物 9510円 △60円
売買代金 1兆7009億円
TOPIX 897.91 △2.32
値上がり銘柄 698銘柄
東証マザーズ指数 394.05 △8.45
値下がり銘柄 876銘柄
日経ジャスダック平均 1101.75円 △6.11円
変わらず 128銘柄
騰落レシオ 98.16% ▼2.77%

日経平均

経済指標の好転にも関わらず上値の重い展開だが最後はお化粧買いで節目を抜けて高値引け

 米国市場は前日の大幅下落の反動もあって大幅高となり、為替も円安、寄り付き前に発表になった経済指標も有効求人倍率は予想を下回ったものの、4月の鉱工業生産指数は予想を大きく上回り買い先行となりました。ただ、前日に米国株安のなか堅調となっていたことや節目と見られる9500円水準の上値の重さを確認していたことから寄り付きの買いが一巡した後は手仕舞い売りなどに押される展開となりました。

 後場も引き続き小動きとなり手仕舞い売りやヘッジ売りも出ていたようですが、逆にお化粧買いに対する期待もあって売り買い交錯、小動きとなりました。引けを意識する時間帯からは先物への仕掛け的な買いも見られましたが、追随する動きも限定的であり、上値の重い展開が続きました。引き際には先物にまとまった買いが断続的に見られ、大引けもお化粧買いと見られる買いが入り高値引け、昨年11月の戻り高値をぎりぎりのところですが、上回って引けました。

 小型銘柄も引き続き堅調なものが多く、東証マザーズ指数は大幅高、二部株指数や日経ジャスダック平均は堅調となりました。先物は引けを意識する時間帯からは断続的にまとまった買いも見られ、最後まで買いが続いたことで、指数を押し上げる要因になったものと思います。ただ、最後はヘッジ売りや目先筋の売りで上値も重くなりました。

 ようやく昨年11月の高値を抜けて来ました。これで、昨年10月と今年3月の安値水準=7000円水準での「ダブルボトム」が確認されたと見てもいいのでしょうが、何となくしっくりとこない感じです。抜けた幅が小さくまだ9500円水準の高値を抜けたと言い切れないことに加え、9500円水準を超えることがイコール景気の底入れ確認と考えていただけに、4月の鉱工業生産指数で底入れ確認となったのであれば良いのですが、最後まで抜けなかったことが気になります。また、景気底入れで節目を抜けるとすれば、株式市場もほぼ全面高となる中で抜けるのではないかと思います。電鉄株や銀行株が安いのは良いとしても自動車株の一角など「国際優良株」が軟調ななかでの底入れ確認というのはどうもしっくりとこないのです。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 ようやく昨年11月の高値を抜けて来ましたが、「抜け掛かっている」と言う表現がいいのかもしれません。ローソク足の形もTOPIXほどではないのですが、下ヒゲの長い「首吊り足」のようでもあり、週初の寄り付きが軟調となればRSIには上値余地があるものの高値圏にあり、ストキャスティックスも高値圏にあって目先的な過熱感もあることから、いったん調整となって来る可能性もありそうです。転換線や基準線のサポートを試す場面もありそうです。

TOPIX

NYダウ

 日経平均と違い5月11日の高値を抜け切れずに下ヒゲの長い形となりました。「首吊り足」となる可能性もあり、来週早々に5月11日高値を抜けてくるかどうかが注目されます。RSIは高値圏にあるものの上値余地はあるのですが、ストキャスティックスは高値圏にあり、抜けたとしても達成感からいったんは押し目を試すような動きになるのではないかと思います。

円相場

NYダウ

 一気に基準線まで戻りました。遅行線も日々線までの戻りとなっています。ここからは遅行線が日々線に上値を押さえられ、日々線は基準線に上値を押さえられる格好となりそうです。雲の下限のサポートを確認するような動きとなるものと思います。

銘柄ピックアップ

持高調整なども見られまちまち

商船三井(9104) 676 △33

 海運株が軒並み大幅高となりました。バルチック指数が昨年10月水準まで戻った後も堅調、戻り歩調となっていることから、週末の手仕舞いの買戻しも交えて改めて買いなおす動きとなり、大幅高となりました。

出光興産(5019) 7970 △260

 米国原油先物市場で引き続き堅調な地合いとなっていることやガソリン価格も上昇を続けていることを好感して買われ、大幅高となりました。

パーク24(4666) 860 △24

 前日引け後に2009年10月期の連結純利益が予想を上回り見通しと発表、最後は週末、月末と言うこともあり、利益確定売りに押されて上げ幅を縮小しましたが、素直に好感する動きで大幅高となり、年初来高値更新となりました。

武田薬品(4502) 3770 ▼70

 コンビニエンスストア向けの大衆薬(一般用医薬品)を6月1日から発売すると発表、本来であれば好感しても良いところなのですが投資家の反応が鈍い中で持高調整と見られる売りもあり、軟調となりました。

東ソー(4042) 294 △36

 外国証券が「化学業界の中で最も業績改善が著しい会社」ということで投資判断や目標株価を引き上げ、「買い」のリストへ採用したということで買われ、大幅高となりました。

セブンアンドアイHD(3382) 2300 ▼40

 傘下のセブン−イレブン・ジャパンに、公正取引委員会が独占禁止法違反を認定し、排除措置命令を出す方針を固めたと報じられたことが嫌気され、軟調となりました。

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